アンビエンテックは2009年に設立された日本のポータブル照明ブランド。独自のLEDモジュール開発をはじめ、使用する素材の質感や、実力派デザイナーを起用した個性的なデザインが魅力だ。インテリアはもちろん、車内でも屋外でも美しく空間を魅了するこれらの灯りと過ごしてみるのはいかがだろうか?
酷暑が終わり、ようやく夜の帳が楽しめる時季になった。そうなるとこだわりたいのが灯りだ。ポータブルならアウトドアランプだが、機能一辺倒で味気ない。そこで見つけたのがアンビエンテックだ。
代表作のTURN(ターン)を見てまず思ったのはエンジンのピストンバルブだ。無垢の真鍮を削り出した8パーツならなるフォルムは、滑らかかつ、回転切削痕が美しい。モデル名の由来でもある。
シェードの内には、ロウソク色と電球色の異なるLEDを32個並べ、用途に合わせて天面のタッチで4段階に調光できる。光源を覆う樹脂製の拡散板で不自然な影が出ることもない。真鍮の色合いとシャープな切削面が素材の質感を伝え、落ち着いた色合いの光にもマッチする。
今年15周年を迎えたアンビエンテックは、水中撮影用器材のOEMメーカーを母体に、とくに定評ある水中ライトの技術を生かして設立したユニークなブランドだ。
水中ライトは、深海の暗闇でも太陽光に近い光で対象物の色を再現する。もちろん水圧に耐える気密性や長時間安定した発光を続ける機能はいうまでもない。そうした技術的なバックボーンに、潜水時のライフラインの信頼性と長く使い続ける道具としてのモノづくりの姿勢は、ランプにも受け継がれている。細部のパーツから専用設計し、長期の愛用に応えるよう修理できるようにしているのもそのためだ。
これに魅力を添えるのが実力派デザイナーの起用だ。それも洗練されたフォルムやスタイルだけでなく、光そのものをデザインし、情感に訴える。Cachalot(カシャロ)は魅力をより工芸品に近づけている。
マッコウクジラをモチーフに、デザイナー自身が木彫したフォルムをアクリルで制作。アクリルは修理を実現するための造形精度が保て、強度もあり、触れても冷たくないなどのユーザーフレンドリーなメリットもある。一方で複雑な造形が難しいハードルはあったが、これをクリアしたのがカメラの水中撮影用ハウジング製造で培った技術だ。美しいフォルムに仄かに灯る明かりには静かな生命感が宿り、優しさに溢れる。
車載やキャンプにいいと思ったのが、TURN +だ。クリスタルガラスを覆うフレーム状のシェードは、天面がモデル名にちなみ十字を象り、まるで船舶用照明を思わせる。空間に潮の香りが満たすようだ。
ブランドが目指すのは、光の文化の創造という。それは、光の下でどのような満ち足りた時を過ごすかということだろう。
【Items】Ambientec Lighting
TURN(ターン)¥59,400(ステンレス/真鍮)/¥39,600(アルミニウム)
TURN+(ターン プラス)¥61,600(ステンレス/真鍮)/¥48,400(アルミニウム)
Cachalo(t カシャロ)¥39,600
●問い合わせ:Ambientec GALLERY TEL045-441-0082 https://ambientec.co.jp/