
ハッチバックからクロスオーバーへ、全面刷新した第3世代が登場
日産自動車は2025年10月8日、第3世代となる新型「日産リーフ」の日本仕様を発表した。2010年に量産型電気自動車(EV)のパイオニアとして市場を切り拓いた初代の登場から15年、ハッチバックのスタイルを大胆に刷新し、流麗なデザインと優れた実用性を両立するクロスオーバーEVへと生まれ変わった。今回発表されたのは78kWhのバッテリーを搭載する「B7」グレードで、価格や詳細なスペックが明らかにされた。注文の受付は10月17日から全国の日産販売店で開始され、2026年1月より順次納車が開始される予定だ。
【画像94枚】ハッチバックから大変貌。流麗なクロスオーバーEV「新型リーフ」をあらゆる角度から見る
もはや不安は過去のもの? クラス最大級の航続距離702kmを達成
最大の注目点である航続距離は、78kWhのバッテリーを搭載した「リーフ B7」において、一充電で最大702km(WLTCモード)を達成した。これは、プロパイロット2.0非搭載の「B7 X」グレードの数値である。この卓越した航続距離は、単に大容量バッテリーを搭載するだけでなく、車両全体の効率を極限まで高めるという日産の「効率至上主義」という開発思想に支えられている。エクステリアデザインは、空力性能を徹底的に追求した「スーパーエアロ」というアプローチが貫かれており、ファストバックスタイルのシルエットや電動格納式のアウトサイドドアハンドル、フラットな床下構造などによって、クラストップレベルの空気抵抗係数(Cd値)0.26を実現した。
発表された日本仕様の価格は、2WDの「B7 X」が5,188,700円(税込)、「B7 G」が5,999,400円(税込)である。また、より多くのユーザーが求めやすい価格帯として、55kWhのバッテリーを搭載する「B5」グレードが来年2月頃に発表される予定であることも明らかにされた。
滑らかさと静粛性を両立。日本のための専用サスペンションチューニング
パワートレインには、モーター、インバーター、減速機を一体化した新開発の「3-in-1電動パワートレイン」が日産として初めて採用された。これにより、従来比でユニット容積を10%削減しながら、最大トルクは4%向上させている。さらに、モーターの振動を大幅に低減する新技術の採用や、ハウジングの高剛性化により、EVならではの滑らかで気持ちの良い走りと高い静粛性を実現した。足回りには、リアにマルチリンク式サスペンションを採用するとともに、日本の道路環境に合わせた専用のチューニングを施すことで、市街地から高速道路までフラットで快適な乗り心地を提供する。
充電性能も大幅に進化している。最大150kWの急速充電に対応し、充電量10%の状態から80%までを35分で回復させることが可能だ。これに加え、ナビゲーションシステムと連携して走行ルート上の勾配などを先読みし、バッテリー温度を自動で最適に制御する「ナビリンクバッテリーコンディショニング」を新たに採用。これにより、エネルギー消費を最適化するとともに、充電速度の向上にも貢献している。
日産初採用、シェード要らずの「調光パノラミックガラスルーフ」
インテリアは、EV専用のCMF-EVプラットフォームの採用により、フラットで開放感のある足元空間と使い勝手の良いラゲッジルームを実現した。インストルメントパネルは水平基調のフローティングデザインでミニマルな雰囲気を演出し、日産初となる調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)が設定された。このガラスルーフは、シェード機構を不要にすることで、流麗なルーフラインと後席の頭上空間を両立させるという、デザインと機能の課題を解決する革新的な装備である。
先進技術の面では、日本の道路環境に合わせて、自動車専用道路でのハンズオフドライブを可能にする「プロパイロット2.0」や、駐車を支援する「プロパイロットパーキング」などが設定された。インフォテインメントシステムにはGoogleが搭載され、「Googleマップ」や「Googleアシスタント」などが利用でき、スマートフォンと連携したシームレスな体験を提供する。また、AC外部給電コネクターやV2H(Vehicle to Home)機能も継続して採用されており、アウトドア活動や災害時の非常用電源としても活用できる。
もう一つの選択肢。プレミアムスポーティを纏った「AUTECH」
同時に、日産モータースポーツ&カスタマイズは、新型リーフをベースにしたカスタムカー「AUTECH」のB7グレードを発表した。メタル調フィニッシュの専用パーツや専用デザインのシグネチャーLEDでスポーティさを演出し、インテリアにはブルーステッチを施したブラック基調のコーディネートでプレミアム感を高めている。価格は6,513,100円(税込)となる。
初代登場から15年にわたり蓄積した知見と経験を最大限に活かし、デザイン、航続距離、実用性、そして価格のすべてにおいて新たな基準を提示した新型日産リーフ。競争が激化する日本のEV市場において、再び市場を牽引する存在となるか、その動向が注目される。
【画像94枚】ハッチバックから大変貌。流麗なクロスオーバーEV「新型リーフ」をあらゆる角度から見る