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ステアリングは「四角」が常識に? プジョー「ポリゴン・コンセプト」発表。「ハイパースクエア」と未来のi-Cockpit、2027年に市販化へ

プジョーが示す「3つの未来」。革新の「ポリゴン・コンセプト」登場

プジョーは2025年11月12日、未来のドライビングプレジャーに対するブランドのビジョンを具現化した「プジョー・ポリゴン・コンセプト(PEUGEOT POLYGON CONCEPT)」を発表した。このユニークなコンセプトカーは、単なるデザインスタディにとどまらず、2027年以降にプジョーが導入する数々の革新技術をプレビューする、動的な実証実験車と位置付けられている。プジョーは、このコンセプトカーが示す未来の方向性として「AGILE(俊敏性)」「FUN(楽しさ)」「FUTURE PROOF(未来への対応)」の3つの柱を掲げている。

【画像25枚】ダッシュボードが無い!「ポリゴン・コンセプト」のフロントガラス投影と未来のi-Cockpitを写真で徹底チェック

『フォートナイト』で先行発表。革新技術「ハイパースクエア」は2027年に市販車へ

このプジョー・ポリゴン・コンセプトは、全長4m未満のコンパクトなコンセプトカーであり、すでに現実世界の公道で新しいドライビング感覚を体験することが可能なレベルにあるという。その発表方法もユニークで、人気ゲーム『フォートナイト(Fortnite)』内の「POLYGON City」と呼ばれる島で独占的にプレビューが行われた。

ポリゴン・コンセプトが提示するイノベーションの中核、すなわち「AGILE」を象徴するのが、まったく新しいステアリング制御「Hypersquare(ハイパースクエア)」と、新世代の「プジョー i-Cockpit」である。プジョーはこれにより、1世紀以上にわたって続いた伝統的な円形のステアリングホイールの常識を覆す。

Hypersquareは単に形状が新しいだけでなく、プジョーi-Cockpitへの新しい人間工学的アプローチであり、車両の完全な電子制御システムの中核をなす。このシステムは「ステアバイワイヤ(Steer-by-Wire)」電子ステアリング技術と組み合わされている。ステアリングとホイールの間に機械的なリンクは存在せず、純粋な電子制御によって操作が行われる。この技術は航空宇宙産業で実績があり、プジョーによれば2027年から市販車にも搭載される予定だ。

フロントガラスが「31インチスクリーン」に。ダッシュボードを廃止した新i-Cockpit

システムは車両の速度に応じてステアリングレシオを調整する。例えば、駐車時やUターンといった低速走行時、Hypersquareは手を持ち替えたり、何回転もさせたりする必要がなく、左右それぞれ最大170度、合計しても1回転未満の回転角で迅速かつ簡単な操作を可能にする。一方で高速走行時には、Hypersquareへのわずかな入力だけで車両の軌道を正確に調整できる。この組み合わせは、高速時の卓越した応答性と精度、低速操作時の快適性、そして「ハイパーアジリティ(超俊敏性)」と呼ぶべきユニークな感覚をもたらす。また、ステアバイワイヤ技術は不要な振動をフィルタリングしつつ、有益な路面フィードバックのみを伝える。

この革新的なステアリングコントロールは、新しい没入型のプジョー i-Cockpitによってさらに強化される。Hypersquareの四隅には4つの円形ポッドが配置され、ドライバーはステアリングから手を離すことなく、指先で主要なコントロールにアクセスできる。

最も大きな変化は、ダッシュボード上のディスプレイが完全に廃止されたことだ。ポリゴン・コンセプトでは、フロントガラスそのものがスクリーンとなり、すべての情報はHypersquareの奥に配置されたMicro-LEDパネルを介してフロントガラスに直接投影される。この投影ディスプレイは幅24cm×高さ74cm、31インチスクリーンに相当する広大な表示領域を持つ。情報はドライバーの視線上に直接表示されるため、安全性を最大化し、注意散漫を防ぐ。走行時には「Cruise」「Fun」「Hyper」といった各ドライブモードに合わせて、内外装の視覚環境がカスタマイズされ、アニメーションが同期する。

Bピラーを廃止した開放感。「猫のような」スタンスを強調する次世代デザイン

ポリゴン・コンセプトは、プジョーの次世代デザイン言語もプレビューする。そのデザインは、ピュア、シンプル、かつ幾何学的な形状によって、これまで以上に「猫のような(feline)」スタンスを表現している。デザインの核となるのもMicro-LED技術である。プジョーの象徴である3本爪のライトシグネチャーは、水平基調のレイアウトで再解釈され、ブランドのアイデンティティを力強く主張する。Cピラーには専用のMicro-LEDスクリーンが配置され、ドライバーは車内に入ることなく車両の充電レベルを確認できる。

「FUTURE PROOF」の側面は、徹底したサステナブルなデザインアプローチに表れている。Hypersquareの採用によりダッシュボードの設計が見直され、キャビンスペースが解放された。助手席前には、ライフスタイルに合わせスマートフォンやバックパックなどを固定できる専用ホルダーも備わる。Bピラーを取り除くことで、キャビンの開放感は増幅されている。

シートもタイヤも交換可能。「FUN」を追求した究極のカスタマイズ性

シートデザインも革新的だ。リサイクルプラスチック(R-PET)を使用した3Dプリント製のシェルと、一体成型のフォームを組み合わせており、従来のシートでは不可能な形状を実現した。車両全体でリサイクル素材の使用が最大化されており、キャビン内は解体されたプジョー車のシートからリサイクルされた「フォージドテキスタイル」で覆われている。車両は従来車よりも少ない部品点数で構成され、例えば従来の4枚ドアの代わりに大きなバタフライドア2枚のみを採用し、設計と製造を簡素化している。

「FUN」の追求は、徹底したカスタマイズ性にも表れている。内外装の多くの要素はわずか数分で交換できるよう最適化されており、Hypersquareステアリングホイールやシートフォーム、ホイールカバーも交換可能だ。エクステリアのカスタマイズはタイヤにも及び、パートナーであるグッドイヤーは、タイヤのサイドウォールに色付きのレーザー刻印を施す技術を開発した。

プジョーは、この「1台の車が複数の側面を持つ」というコンセプトこそが「ポリゴン(多角形)」という名前の由来であると説明し、その例として都市向けの「URBAN」、スポーティな「PLAYER」、アドベンチャー仕様の「EXPLORER」という3つの構成が提示されている。

【画像25枚】ダッシュボードが無い!「ポリゴン・コンセプト」のフロントガラス投影と未来のi-Cockpitを写真で徹底チェック

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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