2025-2026 冬 スタッドレス&ウインタータイヤ バイヤーズガイド

PR

ブリザック「WZ-1」はVRX3を超えるか? 30年の歴史を塗り替えるブリヂストン新世代スタッドレスを氷上レビュー【2025-2026 冬 スタッドレス&ウインタータイヤ バイヤーズガイド】

ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1
ブリザックWZ-1

商品設計基盤技術「ENLITEN」を搭載した新世代スタッドレスタイヤ

30年の歴史を持つブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック」が、最新世代へとフルモデルチェンジ。3代続いた「VRX」(ブイ・アール・エックス)から、そのシリーズ名称が「WZ-1」(ダブルゼットワン)へと改められた。

【画像18枚】スノー・ウェット・ドライなどあらゆる路面で高いパフォーマンスを披露する「ブリザックWZ-1」の詳細を見る

高いパフォーマンスとともにサステナビリティにも貢献

そんな新世代ブリザック WZ-1の開発テーマは、冬期路面へのさらなる性能向上のみならず、多様化するユーザーのニーズをも捉えることだという。具体的にはブリザック試乗「断トツ」と自負するICEコントロール性を磨き上げるだけでなく、スノー・ウェット・ドライとあらゆる路面で高いパフォーマンスを実現。そして性能を長持ちさせることで、サステナビリティに貢献し、ユーザーにとっての経済性を高めたとのことだ。
そして今回はその性能を確かめるために、スケートリンクによる氷上走行と、一般道での試乗メニューが用意された。まずスケートリンクでは、氷上路面におけるブレーキ性能と旋回性能を、先代モデル「VRX3」と比較した。車輌はトヨタ・ヤリスで、タイヤサイズは185/60R15だ。

ブリザックWZ-1

トレッド面には端止めサイプを採用し、氷上での“ひっかき効果”を向上。コンパウンドには、ポリマーを配合した「Wコンタクト発泡ゴム」を採用している。

直線制動1本目は、アクセルをゆっくり踏みながら発進。パイロンに差し掛かったらフルブレーキングを行い、制動距離の違いを比較した。ここでまず気付くのは、蹴り出しの違いだ。VRX3も至って普通に発進するが、同じアクセル開度だとWZ-1は、輪を掛けて滑らかに走り出す。

パイロンからの制動距離は、実はあまり変わらなかった。その理由もまた、トラクション性能の違いによるものだろう。WZ-1の方が空転しにくく、スピードメーターに対して正確な速度が出ているのだ。実際に車外の景色を見ても、WZ-1の方が景色の流れ方は速い。そしてブレーキング時にタイヤが路面を捉える感触も、グリップ感が高い。

スタートからアクセルを全開にする二本目の直線制動では、その様子がさらに顕著になった。最初は両タイヤ共に大きく空転するが、その収束はWZ-1の方が速く、トラクションコントロールの制御も少ない。ただ空転後にグリップを取り戻してから急激に速度が上がる分、今回のステージだと、やっぱり制動距離はさほど変わらなかった。ちなみにブリヂストンのテストだと、WZ-1のICEブレーキ性能はVRX3に対して11%向上している。

定常円ではVRX3が約10km/hでバランスしたのに対し、WZ-1は1km/hほど高いアベレージで周回することができた。数値上だとそれは僅かな差だが、その乗り味は全く違う。WZ-1は滑り出す際のインフォメーションが豊だから、アクセルを緩めてグリップを回復させやすい。対してVRX3は、旋回Gこそ同じくらいだが、今回の路面だと一気に滑り出してしまった。そしてブリヂストンが行ったテストでは、氷上旋回のラプタイムが4%短縮できたという。

こうした氷上性能の向上をタイヤ側で見て行くと、まずそのトレッドパターンが進化した。具体的にはこれまでの「ジグザグサイプ」が「端止めサイプ」となり、ひっかき効果を高めた。

ブリザックWZ-1

今回は氷上のスケートリンクとドライ路面の一般道で試乗。氷上での制動や旋回時のグリップ性能が向上したのをはじめ、ドライ路面での快適性が向上しているのもWZ-1の特徴といえるだろう。

さらに「L字タンクサイプ」を採用して、水膜除去性能を高めた。これは文字通り、タイヤが接地したときに氷とタイヤの間に挟まる水膜を貯水するタンクだ。またサイプがブロックを縦断しないことでブロック剛性を高め、接地面積も増やすことができたという。

そしてコンパウンドが、「Wコンタクト発泡ゴム」となった。このゴムには親水性向上ポリマーが配合されており、水に触れると即座にゴムが粘り強くなる。そして発泡ゴムの持つ除水効果を組み合わせながら、氷上路面でのグリップ力を高めて行く。

氷上性能の向上はもちろんドライ路面での快適性も◎

一般道での試乗は、少し評価が難しかった。街中を走らせたヤリスは剛性バランスもかなり良好で、乗り心地もよかった。パターンノイズは夏タイヤと変わらないほど静かであり、これなら夏タイヤとしても使えるのではないか? と思えるほどだった。
対して街中から首都高速まで走らせたアウディQ5は、静粛性こそ同様な印象を持ったものの、肝心要な走安性がスタッドレスの域を超えなかった。直進時からのレーンチェンジでは操舵応答性がワンテンポ遅れ、コーナーではタイヤに荷重が掛かりきるまで手応えが出てこない。結果としてライントレース性は甘くなり、緊急制動や回避を考えると、夏タイヤとしてはお勧めできない。

WZ-1はタイヤの構造および形状を見直すことで、ボディプライに掛かる張力を均等化した。これによってコーナリング時には、タイヤの接地面に圧力が均一に掛かるようになったという。とはいえ日本の猛暑ではコンパウンドも柔らかくなるし、ミドルサイズSUVの車重に対して、タイヤ全体の剛性が不足していた。
おそらくブリヂストンは、年々注目度が高まって行くオールシーズンタイヤに対してもかなり意識をしているはずだが、やはりブリザックは冬用タイヤだ。とはいえこうした技術が洗練されるほどに、スタッドレスタイヤがカバーする季節は夏タイヤに近づいて行くはずだから、その姿勢は応援したい。
そして「気温3度でも路面は凍る」という彼らの注意喚起に耳を貸すならば、本格的な冬が始まる少し前にスタッドレスへと早めに履き替えるのは、ひとつのアイデアだ。最近は氷上路面もカバーするオールシーズンタイヤも出てきたけれど、凍結した路面での安心感は、やはりスタッドレスタイヤに軍配が上がる。その中でもブリザックWZ-1は、トップクラスの性能を持っている。

となると気になるのはそのライフだが、ゴムそのものの性能としてはVRX3で誕生したロングステイブルポリマー」を、より使いこなせるようになった。これによってゴムからオイルが抜けきることを防ぎ、約4年後でもVRX3より高い氷上ブレーキ性能が維持できるようになったという。耐摩耗性能については言及されていないが、この柔らかさに対して接地性の良さで、減りをどこまでカバーできるのかは興味深いところだ。

■問い合わせ先=ブリヂストン https://www.bridgestone.co.jp/

【画像18枚】スノー・ウェット・ドライなどあらゆる路面で高いパフォーマンスを披露する「ブリザックWZ-1」の詳細を見る

山田弘樹

AUTHOR

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代からレース活動も始め、ロータスのワンメイクレースやスーパー耐久、フォーミュラスズキ隼やスーパーFJなどに参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとして活動しつつ、ドライビングスクールでの講師も行う。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

注目の記事
注目の記事

RANKING