コラム

なぜ彼女はイタリア生まれの三輪車で“焼き芋屋さん”に? 50ccの「アペ」とトコトコ走る、素敵な二拠点生活【愛車群像】

愛すべきマイクロカーたちが大集合。「オールジャパンミニカーミーティング2025」から

2025年12月7日に埼玉県上尾市の大型ショッピングセンター、アリオ上尾で開催された「オールジャパンミニカーミーティング2025」。これはその名の通り、小さなクルマ限定のミーティングで、メインとなるのは一人乗り50cc級の原付カー。こちらのジャンルにも根強いファンは少なくないのだ。エントラントの多くはタケオカ自動車工芸やミツオカに代表される国産モデルだが、中には自作のワンオフモデルや外国産の3輪車などもちらほら。その中にはお馴染み、「アペ」(イタリア語で蜂)の愛称で知られるピアジオの「ベスパカー P50」も何台か見受けられたが、特に目を引いていたのがこちらの1台だ。

【画像19枚】小さな荷台に本格的な焼き芋機材がギッシリ! 鮮やかなオレンジ色の「ベスパカーP50」その細部を見る

なぜベスパカーで焼き芋を? 機材満載の「P50」とオーナーの開業秘話

鮮やかなオレンジ色の車体に「やきいも」の文字。コスプレなどではなく、実際にベスパカー P50の荷台にお芋と機材を満載して焼き芋の移動販売を行なっているのが、こちらの“やきいもボーイ”さんだ。

「このアペを手に入れたのは5年くらい前です。もともとイタリアの食文化に興味があって、いろいろ調べていたところアペの存在を知りました。最初はこのアペでピザ屋さんをやろうかと考えていたのですが、ピザ屋さんを開業するのは車体のサイズ的にもちょっとハードルが高くて、やきいも屋さんに落ち着きました」
という、やきいもボーイさん。イベント当日も、エントラントであると同時に焼き芋屋さんとしても営業。多くのお客さんがホクホクの焼き芋を買い求めていた。

夏は岩手でピザ、冬は名古屋で焼き芋。小さな相棒と巡る「二拠点生活」

「秋から冬の間は、主に名古屋市内で活動しています。今日はミニカーの全国大会ということなので、トラックの荷台にアペを積んで参加しました」とのこと。名古屋で営業するのは秋から冬ということですが、春から秋は?

「実は実家が岩手なので、春から秋はそちらでピザ屋さんをやっています。そちらの屋号は『PIZZA BOY』といいます」

やきいもボーイさんは、数年前に岩手の二戸郡一戸町の古民家を手に入れ、岩手でピザ屋さん、名古屋で焼き芋移動販売の二拠点生活。どちらの店にも行きました、というコアなファンもいるのだとか。

イタリアの食文化といえば、食の社会運動「スローフード」が提唱されたことでも知られるが、ご実家は農業も営んでいるということで、やきいもボーイさんの食に対する思いは強い。その仕事の相棒がイタリア生まれの小さな蜂、ちょっと昔のベスパカー P50というのはなんとも素敵なお話である。

【画像19枚】小さな荷台に本格的な焼き芋機材がギッシリ! 鮮やかなオレンジ色の「ベスパカーP50」その細部を見る

フォト=近藤浩之/H. Kondoh

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