コラム

アウトバーンでAMGやポルシェが道を譲る。800馬力の「GRスープラ」に見る、ドイツ人の日本車リスペクト【木下隆之コラム】《LE VOLANT LAB》

自動車大国ドイツの現場で見た、日本車への”強烈なリスペクト”

「ドイツには魅力的なスポーツカーがたくさんあって羨ましいね」
ニュルブルクリンクでともに戦うチームのメカニックに、そんな本音をこぼしたことがある。

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アウトバーンを走れば、BMWやポルシェが当たり前の顔でワインディングを駆け抜け、追い越し車線ではアウディやAMGがパッシングを浴びせながら猛然と迫ってくる。そんな光景を日常にしている国なのだから、どう考えてもスポーツカー天国はドイツだろう、と疑いもしなかった。ところが彼は、意外そうに首を振った。「いや、日本こそスポーツカー天国じゃないか。僕らは日本に憧れているんだ」
そう言って、肩の高さまで両手を広げ、少し大袈裟な仕草で笑った。その反応に、今度はこちらが驚かされた。僕が羨ましいと感じていたのは、アウトバーンという舞台があることだった。速度無制限区間で、超高性能モデルが本気のスピードを解き放つ。ポルシェやBMWが縦横無尽に駆け抜け、ミラーの向こうからはAMGやアウディが迫る。そんな世界が当たり前に存在している。これを羨ましいと思わないクルマ好きはいない。しかし彼の言い分を聞くと、なるほどと頷ける部分もあった。
「フェアレディZがあって、ロードスターがあって、GT-Rがあるじゃないか」
そう言われて、灯台下暗しという言葉が頭に浮かんだ。ドイツ車は高性能という先入観が強すぎて、自国の宝に気づいていなかったのかもしれない。確かに、日本にも世界に誇れるスポーツカーは数多く存在する。

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木下隆之

AUTHOR

1982年に全日本学生自動車王者に輝いた。出版社で編集部所属、独立してレーシングドライバーとして活動を開始してから40年となる。日産、ホンダ、三菱、トヨタとレーシングドライバー契約。レーシングカーはもちろんのこと、スカイラインGT-R、ホンダ・レジェンド、三菱ランサーエボリューション、レクサスLFAなどの開発に従事。国内外のトップカテゴリーで数多くのチャンピオンを獲得。スーパー耐久シリーズでは最多勝記録を更新中。ニュルブルクリンク日本人最多出場、日本人最高位記録保持。GTアジア選手権2連覇等、海外に活動の場を広げて活躍中。2023年からはトーヨータイヤと「プロクセスアンバサター」契約し、Team TOYOTIRESのドライバーとしてニュルブルクリンクに参戦を開始している。一方で、執筆活動も旺盛で、11本のコラムを連載中。「豊田章男の人間力」「ジェイズや奴ら」等を上梓。トヨタガズーレーシングアドバイザー、レクサスブランドアドバイザー、BMWスタディ・スポーティングディレクターを経験。数々の企業案件に参画してきた。サントメ・プリンシペ民主共和国・補佐官/トウキョウファーム経営戦略アドバイザー/日本カーオブザイヤー選考委員/日本ボートオブザイヤー選考委員/日本自動車ジャーナリスト協会会員/株式会社木下隆之事務所・代表

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