コラム

直6から直4へ。BMW新型「M2レーシング」が大幅ダウンサイジングを決断した真意【木下隆之コラム】《LE VOLANT LAB》

速さの定義を変えるカスタマーレーシングカー

レーシングカーの世界では、速さの定義が静かに変わり始めている。かつてはより大きなエンジン、より高い出力が速さの象徴だった。だが近年、開発の焦点は少しずつ別の場所へ移りつつある。扱いやすさ、効率、そしてドライバーとの調和。その思想を象徴する一台が、BMWのカスタマーレーシングカー「M2レーシング」であろう。このマシンはBMWのモータースポーツ部門であるMモータースポーツが開発したコンプリートカーで、世界各地でワンメイクレースの開催が予定されている。日本でも「BMW & MINI Racing」への参戦が可能だ。

【画像11枚】木下隆之氏も絶賛した新たなワンメイクマシン、BMW「M2レーシング」の詳細を見る販売を担当するのはMモータースポーツディーラーのToto BMW。つまり、このクルマは限られたワークスチームだけの特別な兵器ではない。情熱と覚悟を持ったプライベートチームやジェントルマンドライバーにも、そのステアリングは開かれているのだ。
M2レーシングは、国内耐久レースの代表格であるスーパー耐久シリーズにも参戦可能とされる。カテゴリーはST3クラス。ワンメイクレースの舞台だけでなく、長い時間と距離を走り抜く耐久レースにも挑めるポテンシャルを備えている。

直6から直4へ。ダウンサイジングの真意

今回のモデルで注目されているのはエンジンの変更だ。従来の「M2 CS Racing」は直列6気筒3Lターボエンジンを搭載していた。BMWの伝統とも言える直列6気筒は、滑らかな回転と独特のサウンドで多くのファンを魅了してきた。
しかし新型M2レーシングでは、その構成が大きく変わった。搭載されるのは直列4気筒2Lターボエンジン。いわゆるダウンサイジングである。最高出力は313ps、最大トルクは426Nm。数字だけを見れば、現代のレーシングカーとしては決して派手な数値ではない。だがこのクルマの狙いは、単純なパワー競争にはない。

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木下隆之

AUTHOR

1982年に全日本学生自動車王者に輝いた。出版社で編集部所属、独立してレーシングドライバーとして活動を開始してから40年となる。日産、ホンダ、三菱、トヨタとレーシングドライバー契約。レーシングカーはもちろんのこと、スカイラインGT-R、ホンダ・レジェンド、三菱ランサーエボリューション、レクサスLFAなどの開発に従事。国内外のトップカテゴリーで数多くのチャンピオンを獲得。スーパー耐久シリーズでは最多勝記録を更新中。ニュルブルクリンク日本人最多出場、日本人最高位記録保持。GTアジア選手権2連覇等、海外に活動の場を広げて活躍中。2023年からはトーヨータイヤと「プロクセスアンバサター」契約し、Team TOYOTIRESのドライバーとしてニュルブルクリンクに参戦を開始している。一方で、執筆活動も旺盛で、11本のコラムを連載中。「豊田章男の人間力」「ジェイズや奴ら」等を上梓。トヨタガズーレーシングアドバイザー、レクサスブランドアドバイザー、BMWスタディ・スポーティングディレクターを経験。数々の企業案件に参画してきた。サントメ・プリンシペ民主共和国・補佐官/トウキョウファーム経営戦略アドバイザー/日本カーオブザイヤー選考委員/日本ボートオブザイヤー選考委員/日本自動車ジャーナリスト協会会員/株式会社木下隆之事務所・代表

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