ショーカーから現実へ。いよいよ動き出す「センチュリー クーペ」量産化プロジェクト
2023年に新型「センチュリーSUV」の発表会で披露された、流麗な2ドアクーペのコンセプトモデル。その後目立った続報はなかったが、水面下では市販化に向けた動きが着実に続いているようだ。今回、スクープ班が入手した情報をもとに最新予想CGを制作し、「量産型センチュリー クーペ」の現実的な姿を浮き彫りにした。
【画像4枚】完全オーダーメイドで3000万円超?センチュリー クーペ量産型デザインから読み解く本気度
今回の予想CGにおける最大のテーマは、コンセプトカー特有の非現実的な造形を残すのではなく、「実際に市販されても違和感のないデザイン」「ショールームに並んでも違和感のないセンチュリー」を目指したことである。
ベースとなったのは2023年のコンセプトモデルだ。ロングノーズ・ショートデッキの伸びやかなプロポーションや、低く構えたルーフラインといった基本シルエットは継承しつつ、市販化を見据えて各部のディテールを現実的な仕様へと進化させている。
フロントマスクは、現行センチュリーSUVとの共通性を意識して大型メッシュグリルの採用を想定。中央にはブランドの象徴であるフェニックスエンブレムを鎮座させ、一目でセンチュリーとわかる存在感を持たせている。立体感を強めたコーナーインテークにより、ショーカーの過度な演出を抑えながらも迫力ある表情として描いた。
さらに、ヘッドライトは量産車らしい精緻な印象を与える薄型4連LEDユニットへ変更されると予想。足元には大径マルチスポークホイールを装着し、ドアミラーやフロントスポイラー、サイドシルなどは実際の生産性も考慮した造形へと見直される可能性が高い。
本命はV6 PHEV。幻の「V12+デュアルモーター」の行方は?
市販化に向けて最大の注目点となるのがパワートレインである。現時点で最も有力視されているのは、センチュリーSUVと共通の3.5L V6プラグインハイブリッドシステム(PHEV)だ。静粛性や滑らかな加速といった高級車に求められる快適性を高次元で満たしており、すでに実績もあることから、開発コストや生産効率の面でも極めて現実的な選択肢と言える。順当にいけば、この現行PHEVシステムをベースに専用チューニングを施す可能性が高いだろう。
その一方で、一部では6.0L級V12エンジンにデュアルモーターを組み合わせた専用パワートレインの存在も取り沙汰されている。もし実現すればブランドの頂点に立つにふさわしいユニットだが、現時点ではそれを裏付ける公式発表や信頼できる開発情報は確認されておらず、あくまで予想の域を出ない。
3000万円超の極み。2027年末のワールドプレミアへ
気になる車両価格については正式なアナウンスはないものの、センチュリーSUVを上回る3000万円超になる可能性が高いとみられている。販売形態も一般的な大量生産ではなく、センチュリーらしい少量生産によるオーダーメイド方式が採用される見込みだ。
発売時期についてもトヨタからの正式発表はまだない。しかし、入手した情報によれば、開発が順調に進んだ場合、2027年末頃のワールドプレミアが有力視されているという。センチュリーSUVの登場から約4年というスパンを考慮すれば、新たなフラッグシップを投入するタイミングとしては十分に現実味がある。
打倒ロールス・ロイス。超高級ブランド戦略の「完成形」
センチュリー クーペが実現すれば、それは単なる派生モデルの追加という話では終わらない。近年、トヨタはセンチュリーを単一の車種ではなく、独立した超高級ブランドとして育成する姿勢を鮮明にしており、セダンに続くSUVの投入もその戦略を象徴するものだった。
ロールス・ロイスが「ファントム」「カリナン」「スペクター」を擁し、ベントレーが「フライングスパー」「ベンテイガ」「コンチネンタルGT」を展開するように、ひとつのブランド内で複数のボディタイプを用意することは、世界の超高級ブランドにおける常套手段である。センチュリーも、セダン、SUVに続いてクーペがラインアップに加われば、「3本柱」が揃い、これまで以上に独自性を持つブランドへと進化し、その厚みはさらに増すだろう。
センチュリーを「日本の最高級車」という枠組みから解放し、世界に通用する独立した超高級ブランドへと育て上げる。センチュリー クーペは単なる夢物語ではなく、トヨタがその戦略を次のステージへと進めるための重要な一手となる可能性を秘めている。今後の具体的な開発動向から、決して目が離せない。
【ル・ボラン編集部より】
現段階ではあくまで予想CGと推測の域を出ないが、後席至上主義の極みであったセンチュリーが、ドライバーズカーの頂点たるクーペへ形を変えるという構想自体が興味深い。現行型センチュリーのSUVタイプで顕在化した「自らステアリングを握る」新たな需要。巨躯でありながら極上の静粛性とダイナミックな走りを高度に両立する独自の設計思想は、究極のパーソナルカーでこそ真価を発揮するはずだ。 日本の匠の技が、欧州超名門ブランドに真っ向から挑む日を心待ちにしたい。



