アストン・マーティン、ヴァルキリー・ハイパーカーのシルバーストン開発テストを完了
アストン・マーティンは2026年8月20日、「ヴァルキリー・ハイパーカー」の開発車両を用い、英国のシルバーストン・グランプリ・サーキットで包括的なテストを完了したと発表した。2027年に控えるWEC英国ラウンドに向けたデータ収集と、将来のパフォーマンス向上に向けた広範な技術評価が行われており、マシンの次なる進化へ向けた重要な第一歩となる。
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開発の方向性を探る重要なテスト走行
WEC(FIA世界耐久選手権)とIMSAのプログラムを主導するアストン・マーティンTHORチームは、6.5L V12エンジンを搭載するヴァルキリーの開発車両をサーキットに持ち込んだ。ステアリングを握ったのは、ファクトリードライバーを務めるロス・ガンとハリー・ティンクネルの両名である。アストン・マーティンやモータースポーツ部門の本拠地でもあるシルバーストンは、彼らにとってまさにホームコースと呼べる舞台である。
今回のテストでは、開発中の幅広い技術的要素が評価され、チームはマシンの将来的な方向性を見定めるための貴重なデータを収集した。THORチーム代表のイアン・ジェームスは、この日の走行で試された多くの開発内容が、次なる技術的アプローチの原動力になると語る。さまざまなパフォーマンス領域の評価に成功しており、今後のマシンの進化に向けて大きな手応えを得た一日となった。
実戦での着実な進歩と新たな開発フェーズ
ヴァルキリー・ハイパーカーは、公道走行可能な市販ハイパーカーをベースに開発された唯一のル・マン・ハイパーカー(LMH)である。そのパフォーマンスは2026年のシーズンを通じて向上を見せており、先月のWECサンパウロ6時間レースでは6位と9位に入り、初のダブル入賞を達成した。またIMSAにおいても、コース上を2位でフィニッシュ(最終順位は5位)する活躍を見せるなど、これまでに参戦した7戦中6戦でトップ10入りを果たしている。
エンデュランス・モータースポーツ部門責任者のアダム・カーターは、先行して開発を進めてきた強力なライバルたちの中で、最初の2シーズンの戦いぶりに満足感を示している。18ヶ月間にわたる実戦経験を通じてマシンの特性を深く理解した現在、チームはベース車両の開発を通じて得られる新たなパフォーマンス領域の開拓に乗り出した。今回のテストは、その開発プロセスにおける非常に有益なスタート地点と位置付けられている。
2027年、熱狂の母国レースへ向けた準備
今回のシルバーストンでの走行は、2027年4月に予定されているWECの英国ラウンド復帰に向けた入念な準備という側面も持っている。同シリーズがイギリスでレースを開催するのは2019年以来となり、チームにとってはミシュランタイヤと地元サーキットの特性を把握するための絶好の機会となった。世界中の熱心なファンにとっても、最高峰の舞台で戦うヴァルキリーの姿を母国で目撃できる待望のイベントとなる。
現在の競技用マシンは、レース用に最適化されたカーボンファイバー製シャシーに、11,000rpmまで吹け上がり標準状態で1000ps以上を叩き出すV12エンジンを搭載している。実際のレースではハイパーカーの規定により最高出力が680ps(500kW)に制限されているが、その高いポテンシャルは疑いようがない。地元ファンの前でその本能に訴えかけるような走りを披露するため、アストン・マーティンは次なる進化への歩みを着実に進めている。
【ル・ボラン編集部より】
WECの厳格な規定下において、あえて11,000rpmまで回る自然吸気V12エンジンを据えたアストン・マーティンの判断は、現代の効率主義に対する美しいアンチテーゼだ。かつてル・マンを制したDBR1の系譜を継ぐような、官能性と耐久性の両立は彼らの真骨頂である。母国シルバーストンでのテストは単なるデータ収集を超え、英国のモータースポーツにおける誇りを証明するための儀式にも思える。市販ハイパーカー由来というLMH規定本来の姿を体現する本機が、ライバル勢にどう立ち向かうのか。その熟成を見守りたい。
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