新車の約3台に1台がEV。ドイツの暮らしに浸透する電気自動車
なんだかんだと言いながら、ドイツではEVが暮らしに入り込んできていることを実感する。ドイツ連邦自動車局によれば、2026年9月の乗用車新車登録に占めるBEVの割合は34.5%だという。新たに登録されたクルマの、およそ3台に1台が純電気自動車だった。街を走るクルマ全体の割合ではないけれど、その存在感は確実に増しているような気がするのだ。BEVとは比較的無縁なニュルブルクリンク近郊でそう感じるのだから、環境に敏感な都心部では、より強くBEV普及を実感することになるだろう。
【画像14枚】EV普及のカギは「充電速度」にあり。ドイツのアウトバーン事情とボルボES90が示す未来
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日独の充電インフラ比較。EVの普及を支える「急速充電網」の重要性
普及を左右するのは価格や政策だけではない。ドライバーとして僕が気になるのは、遠出の途中で困らずに充電できるか、ということだ。その点、ドイツの環境は興味深い。アウトバーン沿いには、IONITYなどが最大350kWの急速充電設備を展開している。テスラのスーパーチャージャーにも、他メーカーのCCS対応車が利用できる拠点がある。
連邦ネットワーク庁の登録を調べてみると、2026年9月1日時点の公共充電ポイントは、普通充電と急速充電を合わせて21万口以上だという。そのうち急速充電は約5万7000口に達している。施設数ではなく接続口数だが、EVを受け止める土台の大きさが分かる。一方、日本の充電設備は、2026年3月末時点で約10万6000口だという。少ない。
ただし、日本の数値には集合住宅などの非公共用設備も含むため、ドイツの公共充電設備と単純には比べられない。遠出をするドライバーにとって大切なのは、総数だけでなく、道中の使いたい場所に、十分な出力の充電器があるかどうかだ。環境のために不便を我慢しようと言われても、移動には仕事の約束も家族の予定もある。志は高くても、到着できないのでは話にならない。
10分で300kmの航続距離を追加するボルボES90の800Vシステム
そんなドイツの風景を思い浮かべたのが、ボルボES90に試乗したときだった。ES90は、ボルボ初の800V電気システムを採用する。高電圧化によって電流を抑え、発熱や損失を減らしやすくする仕組みだ。世界発表時には、350kWの設備で「10分間の充電により最大300km分の航続距離を追加できる」と公表された。条件が整った場合の数値で、距離は欧州のWLTP基準による。
残量80%でも約90kWをマーク。「休憩中の速さ」が長距離移動の相棒になる条件
今回の試乗車は、日本仕様の最上位モデルだった。106kWhのバッテリーを搭載し、航続距離はWLTCモードで720kmと長い。僕も最大250kWをうたう充電設備で試したところ、表示は最大約90kWだった。ただし、気温約20度、バッテリー残量約80%という条件である。それでも、80%付近で約90kWを示したことには感心した。
クルマの能力と、それを生かせる充電網。その両方がそろって、EVは長距離移動の相棒になっていく。アウトバーンといえば、走っているときの速さが話題になる。けれど、これからは休憩中の速さにも注目しようと思う。
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