
























最高出力1079psを誇る究極のオープントップ・スーパーカーが誕生
アストン・マーティンは2026年10月28日、新型「ヴァルハラ・スパイダー」を発表した。同ブランド初のミッドシップ・オープンコックピット量産スーパーカーであり、今年初めに導入された「ヴァルハラ・クーペ」のピュアなデザインと圧倒的なパフォーマンスを継承している。1079psを発生するプラグインハイブリッドを搭載し、ルーフの有無にかかわらず最高速度350km/hを達成する、史上最速のオープンコックピット・アストン・マーティンである。
【画像25枚】クーペの美しさと350km/hの空力を両立。専用シュノーケルやディヘドラルドアが際立つ「ヴァルハラ・スパイダー」の全貌を見る
────────────────────
■『ル・ボラン 2026年12月号』は10月26日発売!「メディア対抗ロードスター耐久レース」の詳細レポートも!
▶「アウディ/BMW/メルセデス・ベンツ」の2027年が見える! 新型CクラスEV初試乗や次期3シリーズの全貌、怒涛の6大ライバル対決まで【ル・ボラン12月号】
────────────────────
クーペの美しさと空力性能を両立したルーフシステムと快適装備
新型ヴァルハラ・スパイダーは、クリーンで流れるようなクーペのラインを保ちつつ、あらゆる走行シーンで最適なソリューションを提供する包括的なルーフシステムを採用している。取り外しおよび収納が可能なブラックのファブリックルーフが標準装備され、装着時にはクラス最高となる200km/hまでの速度に対応し、天候の変化に対しても完全な保護を提供する。また、オプションとして用意されるカーボンファイバー製ハードトップ(米国では標準装備)を選択すれば、ルーフを装着した状態で電子制御により制限された最高速度350km/hに制限なく到達することが可能だ。静止状態で使用するレインカバーも付属している。
さらに特筆すべきは、ルーフを取り外した状態でも最高速度の350km/hを達成できる点である。オープン状態での最大のパフォーマンス維持と乗員の快適性を最適化するため、独自のウィンドディフレクターが採用された。ルーフパネルを外した際に素早くクリップで固定できるこの装置は、フロントガラス上部からの気流を制御し、冷却用の空気をシュノーケルへと引き込みながら、乗員の頭上へと空気を持ち上げることで快適性を高める。シュノーケル自体もこのオープントップモデル専用に最適化されており、形状が見直されて35mm高く設定された。ルーフ装着時には、ウィンドディフレクターを3つに折りたたんで、新設された15Lのシル収納スペースの開口部に収めることができる。
インテリアには、ルーフ装着時の乗降性と快適性を高める新しいカーボンファイバー製ツーリングシートが標準装備される。よりダイナミックなドライビングサポートを好む場合は、クーペのオリジナルであるカーボンファイバー製シートを無償で維持することも可能だ。また、象徴的なカーボンファイバー製ディヘドラルドアも継承されており、よりスムーズな操作を実現するために構造が洗練され、フレームレスデザインへと移行した。ドアガラス上端の曲率をわずかに増加させることで、ルーフ装着時の乗降性も向上している。
最高出力1079psを発生するプラグインハイブリッド・パワートレイン
パワートレインはクーペと共有されており、システム最高出力1079ps(1064bhp/793kW)、最大トルク1100Nmを発揮するプラグインハイブリッドを搭載する。その中核を担うのは、ヴァルハラ専用となる4.0L V型8気筒ツインターボエンジンだ。フラットプレーンクランクやスロットルレスポンスを向上させるホットV配置を採用し、最大過給圧は3.0barに達する。エンジン単体で最高出力828ps、最大トルク868Nmを発生し、1Lあたり207psというアストン・マーティンの内燃機関として最高の比出力を誇る。
これに3基の電気モーターとハイパフォーマンス・バッテリー(HPB)が組み合わされ、さらに251psが上乗せされる。400Vハイブリッドシステムを採用し、フロントの電動アクスル(EDU)には油冷式の電気モーターを2基配置して完全な電動トルクベクタリング(E-TV)を実現することで、敏捷性と安定性の双方を高めている。3基目のモーターはリアに搭載された新開発の8速デュアルクラッチ・トランスミッション(DCT)内に統合され、V8エンジンをアシストしてリアアクスルと電子制御リアリミテッドスリップディファレンシャル(e-diff)を駆動する。なお、リバース(後退)はフロントアクスルのEDUによって行われる。これらのシステムにより、0-100km/h加速は予測値で2.5秒を達成している。
前後のアクスル間に機械的なつながりはなく、各車輪への駆動力は高度な統合車両ダイナミクス制御(IVC)システムによって継続的に管理される。IVCの電子制御はサスペンション、ブレーキ、ステアリング、アクティブエアロダイナミクス、パワートレインを監視し、ドライバーが選択可能な「Sport」「Sport+」「Race」「EV」という4つのドライブモードと連動して、車両の挙動やドライバーの要求に応じた自然で有機的なドライビング体験を提供する。
F1の知見を注ぎ込んだカーボン構造とアクティブエアロダイナミクス
ヴァルハラ・スパイダーの設計と開発には、アストン・マーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのコンサルティング部門であるアストン・マーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)との緊密な協力関係が活かされている。車体の中核をなすのは、AMPTが設計・開発した専用カーボンファイバー製タブだ。構造の上部と下部は、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)プロセスとF1由来のオートクレーブ技術を組み合わせて成形されており、ドライバーと乗員のエルゴノミクスを損なうことなく、極めて高い剛性と強度、軽量性、そして安全性を備えたパッセンジャーセルを実現している。軽量オプション装着時の乾燥重量は1680kgである。
また、クーペで初採用された車両全体の高度なアクティブエアロダイナミクスも搭載されている。可動式の空力面と車体下部の気流の精密な管理を組み合わせることで、前後のダウンフォースを継続的に調整し、グリップとハンドリングバランスを最大化、あるいはドラッグを低減する。スパイダーとクーペの技術的な違いは、アクティブエアロダイナミクスとエレクトロニック・スタビリティ・プログラム(ESP)のキャリブレーションの特定の変更に限定されており、ルーフの開閉状態を識別して気流に適応することで、一貫した車両バランスと安定性を維持し、ルーフ装着時には600kgを超える最大ダウンフォースを発生する。
足まわりには、フロントにインボード式のスプリングとダンパーを備えたダブルウィッシュボーン・プッシュロッド式サスペンション、リアにコイルスプリングとアンチロールバーを備えたマルチリンク式サスペンションを採用し、ビルシュタイン製DTXアダプティブ・ダンピング・システム(ADS)を組み合わせる。ブレーキにはフロント6ピストン(410mm×38mmディスク)、リア4ピストン(390mm×38mmディスク)のカーボンセラミックブレーキシステムを装備し、フロント20インチ、リア21インチの鍛造アロイホイールには専用のミシュラン・パイロットスポーツS 5 AMLタイヤ(フロント285/30 ZR20、リア335/30 ZR21)が装着される。
数々の“初”の上に築かれたオープンコックピットの新たな地平。実車はラスベガスでお披露目
アストン・マーティンのエイドリアン・ホールマークCEOは、ヴァルハラ・スパイダーについて次のように述べている。
「ヴァルハラ・クーペは多くの新境地を開拓しました。当社初の量産ミッドシップ・スーパーカーであり、初のプラグインハイブリッドであり、専用のフラットプレーンクランクV8エンジンと全く新しい8速DCTを初めて採用したモデルです。また、新鮮なデザイン言語の先駆けとなり、模範的なオンロードでのフィーリングや一体感と、並外れたサーキット性能のユニークな融合を達成しました」
「ヴァルハラ・スパイダーは、これらの印象的な“初”の上に構築されており、クーペの造形美とダイナミックな領域の広さを保ちながら、オープンコックピットのスーパーカーでしか得られない、楽しみと一体感の拡大された機会を導入しています。高速でも低速でも、雨でも晴れでも、ルーフを付けても外しても、公道でもサーキットでも、ヴァルハラ・スパイダーはすべての条件を満たしています」
ヴァルハラ・スパイダーは、今週末に開催される「2026 コンクール・アット・ウィン・ラスベガス」でワールドデビューを果たし、デリバリーは2027年第3四半期に開始される予定だ。
【ル・ボラン編集部より】
近年のアストン・マーティンは、ヴァンキッシュやヴァンテージが示す通り、圧倒的な出力と英国車らしい品格あるドライバビリティを高い次元で融和させてきた。ブランド初の量産ミッドシップとなるヴァルハラ・クーペ、そして今回登場したスパイダーも、その哲学の延長線上にある。F1直系の空力と1079psのPHEVを備えながら、ルーフを外しても最高速350km/hを許容し、同時に乗降性や快適性まで配慮されている点に注目したい。極限のサーキット性能と、風を纏う優雅なグランドツーリング。相反する要素を精緻な制御で両立させた本作は、ミッドシップの領域でも彼ら流のダンディズムを貫く象徴的な一台となるはずだ。
【画像25枚】クーペの美しさと350km/hの空力を両立。専用シュノーケルやディヘドラルドアが際立つ「ヴァルハラ・スパイダー」の全貌を見る
────────────────────
■『ル・ボラン 2026年12月号』は10月26日発売!「メディア対抗ロードスター耐久レース」の詳細レポートも!
▶「アウディ/BMW/メルセデス・ベンツ」の2027年が見える! 新型CクラスEV初試乗や次期3シリーズの全貌、怒涛の6大ライバル対決まで【ル・ボラン12月号】
────────────────────






