VWがサードパーティ製の排出ガス浄化システムに注意喚起
フォルクスワーゲン(VW)はこのほど、サードパーティが開発する後付けのディーゼル車用排出ガス浄化システムについて、改めて批判的な見方を強調する公式コメントを発表した。
サードパーティが発売する排出ガス浄化システムは、排出ガス基準「ユーロ5」のディーゼル車に後付けし排出ガスを浄化。排出ガス基準を現行の「ユーロ6」レベルに引き上げると謳われている。
ところが、VWの調査によれば、すべてのVW製ディーゼル車(ユーロ5車)に適合するものではなく、サードパーティが実現を謳う二酸化炭素排出量270mg/kmを達成するのは限定的であると主張。さらに、仮に適合したとしても、この排出ガス浄化システムを装着して長期間走行すると二次損傷が発生し、信頼性が低下する恐れがあるとの見解を示した。
現在の「ユーロ6」適合車両に用いられている排出ガス浄化システム「SCR(選択還元触媒)システム」は、多数の複雑な技術的、および法的要件を満たさなければならない。たとえば、窒素酸化物低減用の還元剤である「AdBlue(アドブルー)」が凍結してもシステムは機能しなければならない。また、システムは車両の耐用年数にわたり保証されなければならない。さらに、排出ガス中の窒素酸化物に対する還元剤の比率が正しくない場合、有毒なアンモニアガスが排出される可能性があり、これはトラップ触媒コンバーターを使用して防止しなければならないが、これはまだ開発されていない。
VWによれば、要件を完全に満たす後付けの量産システムは、現時点で市場に出回っていないという。サードパーティ製のシステムによる改造は、燃費の悪化をもたらし、二酸化炭素の排出量を増加させる恐れがあるというのだ。
VWでは現在、カスタマーに対してサードパーティ製の排出ガス浄化システムの装着を推奨していないことを周知している。ちなみに、現在日本で正規に新車販売されている現行VWディーゼル車は、排ガス後処理システムとして酸化触媒、SCR、DPE(ディーゼルパティキュレートフィルター)などを採用することで、世界的にも厳しい日本のポスト新長期排ガス規制に適合しているので、ご安心を。