北米におけるホンダ最大の生産拠点
新型NSXは、米オハイオ州メアリズビルに設立された「ハイパフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)」で生産される。PMCは、ホンダにとってオハイオ州で3番目の4輪車生産工場であると同時に、新型NSXを開発したホンダR&Dアメリカズのオハイオセンターからほど近い場所に立地している。
PMCの隣接するメアリズビル四輪車工場は、ホンダが日本の自動車メーカーとしてはじめて米国に建設した工場で、1982年の生産開始以来、北米におけるホンダの最大生産拠点として歴史を積み重ねてきた。その中から選抜された約100名の生産技術者が、新型NSXの生産にあたる。
一方エンジンは、ホンダ最大のエンジン工場である同州のアンナ工場の専用ステーションで、メアリズビル同様に選抜されたメンバーによって製作する。9速DCTとツインモーターユニットなどのエレクトリックデバイスは日本の浜松製作所で生産され、アンナ工場でアッセンブリされたあと、 PMCに送られる。
PMCには新型NSXのようなスーパースポーツモデルの少量生産に最適な設備が整っており、約100名のスタッフが各工程で先進のロボット技術と協調しながら、最高レベルの品質と卓越したクラフトマンシップを実現する。
工程のいくつかをクローズアップしてみよう。
アルミや超高張鋼板など複数の素材を組み合わせた新型NSX用スペースフレームは、業界初の試みとなる100%ロボット化されたミグ溶接(不活性ガスを使用した金属消耗電極を採用したアーク溶接)によって作られる。8台のロボットが860カ所に正確なミグ溶接を施すことで、高い精度を出す。
一方でエンジニアは、14時間をかけてパワートレイン、サスペンション、電装パーツ、インテリア部品、ボディパネルを組み付ける。主要なボルトの取り付けはエキスパートによる手締めを基本に、その後ワイヤレス通信が可能なデジタルトルクレンチで締め付けることにより、締め付けトルクを精密に管理。ボルト1本ごとにトルク実績が記録され、組み立て工程の高い品質を維持する。
アンナ工場で組み立てられる3.5リッターV6ツインターボエンジンは、エキスパートの手によって1基あたり6時間以上がかけられている。
ボディアウターパネルの塗装では、プライマーと塗料が11層に塗り重ねられた上に仕上げ処理を施し美しい仕上がりを見せるという、世界トップレベルの手法を用いる。
出荷前には動的性能の徹底的な確認が行なわれる。ホイールアライメントの調整作業に45分かけるほか、タイヤの荷重計測や最低地上高の確認、4輪すべてのブレーキパフォーマンスの精密な測定など、あらゆる観点で実施。ちなみにホンダはPMCにおける生産技術に関して12の特許を米国で申請しているが、このうちの半数がこういったプロセスに関連するものだという。
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