2019年からのフォーミュラEへの参戦を発表
ポルシェAGがル・マン24時間レースを含む世界耐久レース選手権(WEC)のLMP1カテゴリーからの撤退を発表。’17年シーズンはチャンピオン争いを続けるが、’18年以降は911RSRによるGTカテゴリー参戦のみに絞る考えだ。’15年の日産、’16年のアウディに続くワークスチームの撤退となり、これでWECのLMP1クラス参戦を続けるメーカーはトヨタのみとなる。総合優勝を競うLMP1において2年連続シリーズチャンピオン、ル・マンでは3連勝と圧倒的な強さを発揮してきたポルシェだけに、今回の撤退発表の衝撃は小さくない。ハイブリッド技術による勝利を目指すトヨタの動向に影響する可能性も考えられる。
同時にポルシェは’19/’20年からのフォーミュラE参戦を宣言。その数日前にはメルセデス・ベンツもDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)から撤退し、フォーミュラE参戦を明言しており、にわかにフォーミュラE周辺が騒がしくなってきている。秋からシーズンが始まるフォーミュラEだが、’18年秋にはBMWがワークス参戦を始めると宣言しており、さらにメルセデスとポルシェが加わる’19年のシーズン開幕はフォーミュラEの新たな歴史の始まりとなることは間違いないだろう。
現在、フォーミュラEにはルノーやシトロエン、ジャガーがワークス参戦し、この秋にはアウディも加わるが、まだF1やル・マン24時間ほどの注目度はない。だが、さらにドイツ勢が加わり、有力ドライバーが参戦するとなるとそのバリューは一気に高まる。レースレベルも上がるだろうし、巨大メーカーの投資がフォーミュラEへ移れば、F1と拮抗するイベントとなる可能性もある。
自動車の電動化の流れは着実に進展しており、ヨーロッパやアメリカでの燃費規制、排ガス規制もその動きを後押ししている。モータースポーツもその流れに乗って一気に電動化への道を歩むのか、あるいは電動化や自動運転とは違う方向をアピールすることで独自の世界を切り開くのか。見通しにくい部分ではあるが、今回のポルシェの動きも含め、来るべき時代の転換点をしっかり目に焼き付けておきたいところだ。