
第11回モナコ・ヒストリック・グランプリ
ダニエル・リカルドが快心の勝利を挙げたF1モナコ・グランプリの2週間前に“もうひとつのモナコ・グランプリ”が行われたのをご存知だろうか? それが2年に一度、同地で開催されるヒストリックカーレース、 “モナコ・ヒストリック・グランプリ”である。
150台以上のF1マシンが集結!
さる5月11~13日に行われたこのイベントは今回で11回目。もともと1997年にモナコ建国700周年を記念して行われた“余興のひとつ”に過ぎなかったのだが、いまや世界中からVIPたちが集まる世界で最も豪華なヒストリックカーレースとなった。

1967年のモナコGPで、モナコのレーニエ大公がグレース王妃を乗せてパレードしたことでも知られる、ランボルギーニ・マルツァル。その故事にちなみ、日曜には息子のアルベール2世がドライブするサプライズも!
その理由はただひとつ。行われるレーシングコースも、施設もすべてホンモノ本物のF1グランプリとまったく同じものが使われるからだ。そのために回を重ねるごとに参加者が増加。これまではF1以外にも様々なカテゴリーが組まれていたが、今年は戦前のGPカー、1950年代のレーシングスポーツカー以外の5クラス(年式によって区分される)はすべてF1カテゴリーとなり、その総数は実に150台以上を数えるまでになった!
憧れのマシンがゴロゴロ
モナコのピットはもとより、ハーバー沿いに設けられたパドックまで、子供の頃、タミヤのプラモデルで作った憧れのマシンの“本物”が、ゴロゴロしている光景はこのイベントならでは。しかもそれらが、往時を彷彿とさせるスピードで本気のレースを繰り広げるのだから、面白くないわけがない。実際、この週末のモナコはF1グランプリと変わらぬ賑わいでスタンドはすべて超満員。ハーバーにひしめく超豪華クルーザーでは、連日連夜パーティーだらけという盛り上がりぶりである。
近年は、元F1レーサーたちがオーナー兼エントラントとして参加してくるのも特徴で、今回はパオロ・バリッラがフェラーリ312B、アレックス・カフィがエンサインN176、そしてレッドブルF1のチーフ・テクニカル・オフィサーのエイドリアン・ニューウェイがロータス49Bで参戦していた。
また日本からも1966~1972年のF1クラスで競われるセリエEに、2014年の優勝者である久保田克昭氏が愛機ロータス72とともにエントリー。日本のSUPER GTでも活躍したビョルン・ウィルドハイムなど、プロドライバーに混じって予選4位からスタート。惜しくもマシントラブルでリタイアになってしまったが、決勝でもトップ争いを展開する大活躍をみせた。
このほか、ミカ・ハッキネンやエディ・アーバインら元F1ドライバーを集めたF1パレードや、ポルシェ70周年を記念したデモラン、ランボルギーニ・エスパーダ50周年を祝うマルツァルのデモランなど、レース以外のプログラムも行われたこの3日間は、ある意味で本家F1よりお得で豪華な週末だった。