国内試乗

フォルクスワーゲン・ポロGTI【国内試乗】満を持して上陸した 歴代最強のポロ!

そのパフォーマンスは「GTI」の名にふさわしいものなのか?

フォルクスワーゲンの「up!」「ポロ」「ゴルフ」にGTIシリーズが出揃った。すでに、up! GTIはリポート済みだが、ポロGTIもようやく試乗する機会が訪れた。エンジンは新開発の2.0リッター直噴直4ターボを搭載。その気になるパフォーマンスはいかに?

軽量化や安全性は上級モデル譲り

ポロGTIの第一印象は、「ポロっぽくない!」。これまでのポロは、〝ころん〟としたプロポーショーンのおかげで愛嬌があったが、最新版はロー&ワイドのフォルムとシャープなフロントマスクにより、精悍なイメージに変身。さらにGTIはなおさらその印象が強い。あまりクルマに詳しくない人に「これが新しいゴルフGTI」と説明したら、信じる人は意外と多いのではないだろうか?

新型ポロGTIは、市街地走行における快適性も申し分ない。実用性も十二分に高いだけに、とても魅力的な1台に仕上がっている。

もちろん変わったのはイメージだけではない。最新のプラットフォームとエンジンを手に入れたのが、新型ポロGTIのハイライトである。

現行モデルから、ポロにはフォルクスワーゲンの横置きエンジン用モジュールコンセプト「MQB」が採用される。当然GTIもこの最新のプラットフォームの上に成り立ち、特に軽量化や安全性の面で、ゴルフなど上級モデル譲りの性能を手に入れている。

一方、ゴルフGTIが前=マクファーソンストラット、後=マルチリンクのサスペンションを搭載するのに対し、ポロGTIはリアがトーションビーム式と、軽量モデル向けのパッケージを採用する。これが走りにどんな影響をもたらすのか、気にかかるところだ。

そして一番の驚きが搭載されるエンジン。先代の1.8リッターターボから2.0リッターターボへ、さらに排気量を増したのだ。最高出力が旧型に対し21ps増しの200psとなったのはうれしいけれど、ダウンサイジングの時代に逆行しているのではないかと指摘を受けそうだ。

200ps/320Nmを発揮する、専用チューニングが施された2.0L直4ターボエンジンを搭載。

もちろん、そのあたりのことは十分考慮されているわけで、フォルクスワーゲンが今回ポロGTIに搭載したのは、ミラーサイクルと呼ばれる燃焼方式を採用した最新の2.0TSIユニットなのだ。すでにアウディA3やA4に採用されるこのパワーユニットの特徴は、エンジンの負荷が低い状況では、エンジンの吸入行程で吸気バルブを早閉じすることによって見た目の圧縮比(=膨張比)よりも実際の圧縮比を低くし、高効率を実現するというもの。したがって、排気量は1984ccだが、低負荷時には1.4リッターターボエンジン相当の動きとなるため、むしろ従来の1.8リッターターボよりも高効率といえるのだ。

GTI専用デザインのリアスポイラーは後端がリアビューを引き締めるブラック仕上げ。エキゾーストエンドは左側2本出しとなる。

そして、もうひとつ見逃せないのが、トランスミッションが変更されていることだ。従来のポロGTIには乾式単板クラッチを7速DSGが搭載されていたが、新型では湿式多板式の6速DSGとなり、より大きなエンジントルクを受け止められるようになった。実際、エンジンの最大トルクを従来の250Nmから320Nmにアップするには、湿式6速DSGの採用は不可欠だった。

過剰な演出はないが実に素直な動きを見せる

そんな見どころ満載のポロGTIは、内外装もGTIらしさが溢れ、気持ちを昂ぶらせるはずだ。フロントグリルのレッドストライプはその一例。タータンチェック柄のシートや、ステアリングホイールに施されたレッドステッチもうれしい演出だ。一方、〝ベルベッドレッド〟色のダッシュバッドは私には少し派手に思える。GTI限定でオプション設定されるフル液晶メーターのActive Info Displayは、ゴルフやパサートと異なる表示が可能だが、GTIであればセンターに大きなアナログの回転計を配置するといった大胆な提案があっても良かったのではないだろうか?

滑らかな手触りのレザーステアリングには、レッドのステッチが施される。シート表皮はGTI伝統のタータンチェック柄のファブリックとなる。

そんなことを考えながら、エンジンのスターターボタンをひと押しし、箱根のワインディングロードに向かうことにする。走り始めてすぐに気づくのが、2.0TSIエンジンの低速での余裕あるトルク。アウディA3やA4に不満のない走りをもたらすこのエンジンだけに、より軽量コンパクトなポロGTIを素早く加速することはたやすい。たいていの状況では、アクセルペダルを軽く踏んでやるだけで、ストレスのない加速を手に入れることができるのだ。

もちろん、より素早い加速が必要な場面でも、この2.0TSIはドライバーの期待に応えてくれる。アクセルペダルを深く踏み込むと、2500rpmあたりから勇ましいサウンドを伴いながら勢いを増していく。その加速に不満はないが、レッドゾーンが6500rpmであるのに対し、6000rpmあたりで早々とシフトアップするのは少し物足りない。

ワインディングロードでのハンドリングは、とりたててシャープだったり、スポーティさの過剰な演出がない代わりに、実に素直な動きを見せる。ミニやフランス勢のスポーツモデルに比べるとおとなしいが、こうした味付けはゴルフGTIやup! GTIにも共通する部分で、そこがフォルクスワーゲンらしいともいえる。

スポーツサスペンション、アクティブダンパーなどを含む〝Sport Select〟シャシー付きスポーツパフォーマンスキットを標準で採用するポロGTIは、ノーマルモードでも少し硬めの乗り心地を示すが、17インチタイヤを履きこなしており、16インチを履く標準グレードよりもむしろ快適に思えるほどだ。

標準でスポーツセレクトサスペンションを装備。ドライビング・モードは、ノーマル、スポーツ、エコ、インディビデュアルの4モードが用意される。オプション設定だが、スマホをワイヤレスで充電することも可能。

その乗り心地には、装着されているミシュラン プライマシー3が貢献していると思われる。ふだん乗るにはタイヤの剛性感と乗り心地のバランスが良いのだが、思い切り加速するような場面ではもう少しグリップがほしいところで、このポロGTIにはスポーツタイヤのほうが似合うと思う。

17インチアルミホイールが標準され、オプションで18インチも用意。

ホットハッチの代名詞といえるGTIといっても、過激なところはなく、それでいてどんなシチュエーションでも気持ちのいい加速が味わえるポロGTI。アニキ分のゴルフGTIに比べてコーナリング時の接地感がやや劣るとはいえ、よりもひとまわり小さいボディを生かし、街中からワインディングロードまで、車との一体感を味わいながら小気味よく走らせられるのも、ポロGTIならではの魅力である。

LEDヘッドライトは、フロントグリルのGTIを象徴するレッドラインが、内部まで伸びたスタイリッシュなデザインとなる。

サイズもパワーもちょうどいいスポーツモデル、それがこのポロGTIなのである。

リアにはGTI専用のLEDダークテールランプを装備する。

Specification
フォルクスワーゲン・ポロGTI
車両本体価格(税込):3,448,000円
全長/全幅/全高[mm]:4075/1750/1440
ホイールベース[mm]:2550
トレッド(前/後)[mm]:1510/1485
車両重量[kg]:1290
最小回転半径[m]:5.1
乗車定員[名]:5
エンジン型式/種類:CZP/直4DOHC16V+ターボ
内径×行程[mm]:82.5×92.8
総排気量[cc]:1984
圧縮比:11.6
最高出力ps(kW)/rpm:200(147)/4400-6000
最大トルクNm(kg-m)/rpm:320(32.6)/1500-4350
燃料タンク容量[L]:40(プレミアム)
燃費(10・15/JC08)[km/L]:-/16.1
ミッション形式:6速DCT
変速比:1)2.933、2)1.791、3)1.125、4)0.810、5)0.772、6)0.636、R)3.352、F)4.769/3.444
サスペンション形式:前 ストラット/コイル、後 トレーリングアーム/コイル
ブレーキ 前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ(ホイール):前215/45R17(7.5J)、後215/45R17(7.5J)

リポート:生方 聡/フォト:小林俊樹/ル・ボラン2018年9月号より転載
LE VOLANT web編集部

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