生産はすべて日本国内となる一方、販売は海外向けが圧倒的に多いというグローバルプレイヤー、フォレスターが5代目へとスイッチした。そのハードウェアはスバル自慢の新世代骨格を筆頭に大幅な進化を遂げているというが、実力のほどはいかに?
シャシーは間違いなくトップ級の出来映え
いまや世界でもっとも売れているスバル車だというフォレスター。その5代目となる新型は、外観こそ先代のテイストを色濃く残した仕立てだが、中身は格段に進化している。今回は街中が主体の試乗だったが、特に印象的だったのは乗り心地の良さ。この種のSUVは、日常的な速度域だと路面からの細かい入力が気になりがちだが、新型フォレスターはそれを意識させないばかりか上質感すら漂わせる滑らかさを披露してくれる。
そんな滑らかさが、いざ速度を上げても失われない点も好ましい。全高が1.7mを超えるSUVだと思えば、高速域のフラット感やスタビリティは秀逸と呼べる水準。新型は遮音も入念とあって、たとえば一気に長距離をこなす場面でも乗り手の疲労度は低く抑えられるだろう。また、限られた環境で軽く試した程度だがハンドリングも好印象だった。しなやかなストローク感を持つ足回りは、前後とも満足できる接地性を確保しながら回頭性も申し分ない。とりわけスポーティと感じさせる演出は施されていないが、ドライバーさえソノ気になれば無理が利く出来映えだ。
新型が搭載するパワーユニットは、2.5リッターの自然吸気とスバルが「eボクサー」と呼ぶ2.0リッター自然吸気+モーターのHVという2本立て。組み合わせるギアボックスはどちらもCVTだが、その動力性能は必要にして十分というところ。アクセル操作に対する反応にも不満はなく、前者はトルクの太さで、後者はモーターアシストによる恩恵でCVTの悪癖が抑えられて扱いやすい。ただ、初期受注で人気だというeボクサーについては、最新のHVやPHVで主流となりつつある「電動車らしさ」に乏しい点が気がかりといえば気がかり。もちろん燃費に代表される維持費の利点はあるにせよ、現状では2.5リッター対する明確な独自性が見出しにくいからだ。