内燃機関はこの先も必要とされるのか? モビリティは完全自動運転となるのか?自動車社会の潮目が変わろうとしているいま、ポルシェが見据える未来ははっきりしている。それは革新的なアイディアで、今までと変わらず人々を魅了するスポーツカーブランドであること。今回はアジア太平洋地域の自動車メディアがクアラルンプールに招待し、ポルシェ電動化の“いま”と“これから”のプレゼンテーションが行なわれた。
最新ハイブリッドモデルをサーキットで試す!
2025年までに世界新車販売台数の50%以上を電動車両にする方針を打ち出し、オール電化へ向けて急速にスピードアップを始めたポルシェ。すでに7年後に向けた布石はいくつか明らかにされているが、その最たるものがミッションEの呼称で開発が進められてきた、ポルシェ初のピュアEVスポーツカー「タイカン」だ。
ポルシェAG CEOのオリバー・ブルーメ氏は、“顧客の期待”を予想してアイディアを実現し、最終的には市場から賞賛されることが革新であると述べている。同社コーポレートサイトでは、電動化について「“顧客のニーズ”を届けるだけでよければ、ライト兄弟は飛行機など発明せず、ずっと自転車を販売していただろう」と、思わず膝を打ちたくなるコメントを記しているが、つまりポルシェにとっての電動化は、外的な力によるものではなく、あくまでも主体的な挑戦であり、我々に興奮や感動を与えてくれる革新であることに違いはない。
今回、2日間に渡りクアラルンプールで行なわれた「Eパフォーマンス・ナイト」は、ル・マン24時間レースへのオマージュを込めて夜間に開催。クアラルンプールの市街地でもセパン・サーキットでも一本筋の通ったポルシェDNAが具現化されたEパフォーマンスをアジアのメディア陣に体感させるのが目論見だ。
用意されたクルマで国内未導入のモデルは、カイエンEハイブリッドのみであったが、幸運にも918スパイダーのサーキット走行も許された。欲を言うとキリがないが、同乗試乗でトラック2周と少々“お預け状態”ではあったが、フロント軸に2個、後輪用トランスミッションに1個配されたモーターと、4.6LリッターV8自然吸気が織りなすパワープラントの躍動を体感できただけでも貴重。そして、コーナー手前での回生ブレーキは、まさにポルシェのブレーキタッチの感覚と同じで、そのときの充電効率の高さもしっかりと確認することができた。改めてこのモデルがEパフォーマンスのテストヘッドとしての役割が大きかったことを思い知らされた。
プログラムの都合により市街地での試乗はキャンセルとなってしまったが、セパン・サーキットで最初にステアリングを握れたのはパナメーラ・ターボSEハイブリッドとそのスポーツツーリスモ。すでに日本国内でもリリース済みだが、今回は思う存分アクセルを解放できる(とはいえ、夜間走行かつウェットコンディションのためか、コーナーにはスピード抑制のパイロンが設置されていた)。