清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 70:その似て非なる味付けの違いが露わになった!
BMW 740i vs メルセデス・ベンツ S300h
TEST 01:加減速テスト
テストの「方法」と「狙い」
●加速テスト
静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト
100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G〜1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。

加減速テスト
ディーゼルハイブリッドと直6ターボ。個性は違えど、両車ともトルクフル
S300hはディーゼルハイブリッドなので、ディーゼルの巨大なトルクにモータートルクが加わる。しかしモーターのトルクはバッテリーに依存するので常に使えるわけではない。そこでバッテリーに電力を充分に溜めてから発進テストを行なった。ディーゼルとモーターは低速が得意なので80km/hまでは力強いが、その先は加速が衰える。もっとスピードを高めるにはパワー(仕事率)と多段化ギアボックスが必要だろう。その意味では9速ATが欲しい。ブレーキは7シリーズよりも車重が重くやや不利だった。しかしフィ-リング的にはバイト感(喰いつき)もあるし、ペダルを踏んだ時のフィールは「ドンとこい」という頼もしい感じだ。効きは前回テストしたC220dと同様にすこし物足りなさもあった。

MERCEDES-BENZ S300h
●加速:0.30G(★★★☆☆)
●減速:0.88G(★★★☆☆)
ディーゼルハイブリッドと直6ターボは対極的なパワーユニットだ。前者はトルク主義で、後者はパワー主義。とはいえBMW740iには新世代の直6ターボエンジンが搭載され、最大トルクはディーゼルに近い450Nmを発生。この直6ターボは7000rpm前後まで回るので、加速感が衰えることなく車速が高まる。そして何よりも魅力なのは、バランスの非常に良い直6エンジンが静かで振動も少なく、高級車のキャラクターにマッチしていることだ。8速トルコンATの変速もスムーズだ。ブレーキは効きも良く、コントロール 性は文句ないが、強く踏んだ時はS300hよりも少しスポンジーな印象。ステアリングやアクセルのレスポンスがシャープなので、ブレーキのダイレクト感がもう少し欲しかった。

BMW740i
●加速:0.46G(★★★★☆)
●減速:0.96G(★★★★☆)