国内試乗

【国内試乗】ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ、その性能はまさにサーキット専用マシン!?

市販車最高記録を樹立したスーパーランボ

ランボルギーニの伝統的にSVは「スーパーヴェローチェ=超高速」を、Jは「Jota(イオタ)」を意味し、サーキットで優れた性能を発揮することを示すという。そんなアヴェンタドールにSVJの名を冠した、最速モデルが日本に上陸した!

ステアリングを切ったりペダルを踏んだりパドルを引く。運転に必要なこうした一連の操作が、クルマを運転しているというよりも機械でも操縦しているかのようだった。それぞれの操作荷重が重いわけではない。むしろ適度な手応えが心地よく、最近のなまくらな普通乗用車よりはずっとクルマっぽい。それなのに、バケットシートに収まってからしばらくの間は、まるで機械の操作マニュアルに従って「パーキングブレーキよーし!」「Dレンジよーし!」「右後方よーし!」とか、いちいち指差呼称確認しながら運転しているみたいだった。

要するに、リズムよく運転できなかったのである。タウンスピードでは7速のセミATがDレンジではギクシャクしたシフトマナーを見せるとか、ステアリング操作に対するクルマの動きがリアヘビーでちょっともっさりしている(車検証によれば、前軸重=780kg、後軸重=1040kg)とか、右後方の視界が絶望的に悪いから車線変更には細心の注意が必要とか、スムーズな運転を阻害する物質的要因はいくつか考えられた。

加えて、6498ccのV型12気筒エンジンは8700rpmまで回り、770ps/720Nmのパワースペックを持ち、最高速は350km/h以上と公表されていて、日本での価格は5567万2243円。その上、いま自分がステアリングを握っている個体はすでにお客様が付いているという。どちらかといえば、一般道では積極的に運転したくない条件の揃ったクルマでもあった。

 

いるべき場所はサーキット

駆動形式は4WDであるものの、ドライブフィールはFRに近く、前輪にもトラクションがかかっている様子が感じられるのはコーナーの脱出時や中速域からの加速時などだった。

せっかく「ニュルブルクリンク北コース市販車最速」にして「ランボルギーニV12史上最高出力」であり「Jota(イオタ)」の「J」を冠したアヴェンタドールSVJに乗っているのに、「走らせている」というよりは「動かしている」という悶々とした気持ちのまま高速道路に吸い込まれていったら、状況が一変した。

6.5L V12自然吸気ユニットは、最高出力770ps/最大トルク720Nmを発揮。0→100km/h加速は2.8秒、最高速度は350km/hオーバーというハイパフォーマンスを発揮する。

速度を上げていくにつれ、ドライバーの入力に対するクルマの反応はまさに打てば響く様相になり、重さよりも軽さが前面に出てきて、それまでは別々の動きだった加減速や操舵やシフトチェンジが溶け合ってひとつの連続的所作へと変貌したのである。

カーボンとアルカンターラでスポーティに仕立てられるコクピット。TFTディスプレイ内にはランボルギーニが特許を有するALA(アクティブ・エアロダイナミクス・システム)機能のステータスが表示される。

何よりも驚いたのはハンドリングの妙だ。ステアリングの操舵角よりもはるかに大きく鋭くクルマがイン側へ向かって切り込んでいく。後輪操舵のおかげであることに疑う余地はないのだけれど、カーブの曲率を問わずほとんどの場面でほぼニュートラルステアを保つ。それでも旋回中に挙動がちょっと安定していないと思ったら、ステアリングではなくスロットルペダルのコントロールでいとも簡単に修正できる。また、ロール剛性が極めて高いから、路面にぴたりと張り付いた姿勢は直進時でも旋回時でもほとんど変わらない。それでも乗り心地は悪くなく(「ストラーダ」を選択時)、プッシュロッド式サスペンションがきちんと動いている様子は窺える。

リアタイヤは355/25ZR21という超扁平サイズ。フロントは255/30ZR20でピレリPゼロコルサを履く。

市街地から高速道路へと舞台を変えたアヴェンタドールSVJは、まるで硬くなっていた筋肉がストレッチなどの軽い運動により徐々にほぐされていき、しなやかで力強い動きができるアスリートのようだった。そしてこのアスリートはとんでもない俊足の持ち主でもある。クルマは抜群の安定感を示しているからちっとも怖くないはずなのに、血の気が一気に引くような猛烈な加速を示すので、空恐ろしくなって思わずすぐにスロットルペダルを戻してしまった。

「ALA2.0」はフロントのスプリッターや前後のフラップを状況に応じて電子制御することで、最適なダウンフォースや空気の流れを導き出す。

このクルマがいるべき場所は日本の公道ではなくサーキットである。おかげで、電子制御式空力システム「ALA2.0」の効果がほとんど感じられなかったのが残念でならない。

 

【Specification】
■全長×全幅×全高=4943×2098×1136mm
■ホイールベース=2700mm
■トレッド=前1720、後1680mm
■車両重量=1525kg
■最小回転半径=5.75m
■乗車定員=2名
■エンジン型式/種類=-/V12DOHC48V
■内径×行径=95.0×76.4mm
■総排気量=6498cc
■圧縮比=11.8
■最高出力=770ps(566kW)/8500rpm
■最大トルク=720Nm(73.4kg-m)/6750rpm
■燃料タンク容量=85L(プレミアム)
■変速比=1速3.909、2速2.438、3速1.810、4速1.458、5速1.185、6速0.967、7速0.844、R2.929、F2.867/3.273
■トランスミッショッン形式=7速セミAT
■サスペンション形式=前後Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前255/30ZR20、後355/25ZR21
■車両本体価格(税込)=5567万2243円

【問い合わせ】

ランボルギーニ・ジャパン 0120-988-889 lamborghini.com/jp-en

 

リポート:渡辺慎太郎 フォト:郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年3月号より転載
LE VOLANT web編集部

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