SLCのブレーキ制御は完璧だが、それを凌駕するのがポルシェ・クオリティ
MERCEDES-AMG SLC 43
●制動距離:57.5m(★★★★☆)
最近のスポーツモデルは、溝が浅めのタイヤが主流。新品なら問題はないだろうが、減ったときのウェット性能は気になる。今回のSLCはほぼ新品の状態でテストすることができた。ステアリングと同時にフルブレーキング。ライントレースは最初の2/3くらいまではいい感じだ。しっかりと止まりながらも、ステアリングの正確性は良い。最後はリアがスッと流れ気味だったが、あえてESP(ESC)で姿勢制御しないで止めてしまう考えのようだ。速度が低い領域のオーバーステアなので問題はないと判断した。また2回のテストのバラ付きは、この日持ち込んだテスト車両の中で最も少なかった。電子制御を完璧に使いこなしている。
PORSCHE 718 BOXSTER S
●制動距離:51.8m(★★★★★)
6気筒を捨ててまで得た価値は、ダイナミクス性能の進化に他ならない。ボクスターSのタイヤはフロントが9分山、リアが8分山だったが、ストッピングパワーはメルセデスよりも大きい。タイヤのウェット性能も貢献しているが、ウェットが苦手なはずのスポーツカーがこのテストで100点を取ってしまった。ポルシェのABSとESCの制御は巧みで、基本性能でステアリングの正確性を実現し、スピンするかどうかのギリギリのところを電子デバイスで姿勢制御。2回目はステアリングをやや先行させて進入。ヨーが出過ぎるが、アンダーでもなく、またしても正確に姿勢をコントロール。秀逸なブレーキだ。