清水和夫のDST

ミニ・クーパーD クロスオーバー vs フォルクスワーゲン・ティグアン・ハイライン、最新コンパクトSUVの性能を試す!【清水和夫のDST】#80-1/4

ティグアンは新しい時代のファミリーカーたる資質

最近コンパクトSUVが人気だ。SUVというと背が高くて、街中からオフロードまで走破できるマルチなクルマというイメージがあるが、最近になって人気急上昇のSUVは、昔から流行っている骨太なSUVよりも、もっと乗用車ライクなクルマたちだ。旧SUVと区別するためにクロスオーバーSUVとも呼ばれている。しかも駆動方式は4駆にとらわれずに、2輪駆動(FFかFR)でもいい。こうなると、クロスオーバーSUVこそ新しい時代のファミリーカーではないだろうか。

それでは、VWはどんなクロスオーバーSUVを開発したのだろうか。VWが日本に投入したのは新型ティグアン。ゴルフと同じパワートレインを持つが、ホイールベースを伸ばしている。エンジンはガソリンの1.4L直4ターボのTSIだ。ツインクラッチのDSGと組み合わせることで、走りと燃費を両立している。細かくスペックを見ていて驚いたのは、フロントの重量配分がかなり軽くなっていることだ。FFとしては珍しい57%。常識では発進時のトラクションが足りなくなるはずだが、DSGの制御でうまく調整している。急発進は苦手だが、加速と変速はスムーズだ。
ティグアンで高速を走ると、ミニと違ってステアリングの応答性とスタビリティのバランスが良い。ボディのロールやバネ上の動きがものすごく落ち着いている。シートのホールド性もよく、シート表面の生地の摩擦もあるので、体がしっかりホールドされる。
派手さはなく、クセもない。誰が乗っても、長く乗っても嫌みのないクルマに仕立てている。そんな風にこのクルマをファミリーカーとして考えてみたら、ベストチョイスかもしれないと思えてしまった。ティグアンこそポストゴルフなのでは? とさえ思える。

リポート:清水和夫/K.Shimizu フォト:篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン 2017年6月号より転載
LE VOLANT web編集部

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