進化版「ID.R」は0-100km/h加速2.25秒の実力
4月24日、フォルクスワーゲンは新型EVレーサー「ID.R」を発表するとともに、ニュルブルクリンク北コースにおけるEVの最速ラップ樹立に挑戦する方針を明らかにした。
「ID.R」は、2018年に米国コロラド州で開催されたパイクスピーク・ヒルクライムレースを制した「ID.Rパイクスピーク」の進化版。ボディサイズは全長5219×全幅2350×全高979mmで、ホイールベースは2850mm。
フォーミュラ1マシンに用いられている空力テクノロジーが採用されたボディには合計で680ps/650Nmを引き出す2基の電気モーターが搭載され、4輪を駆動。車重1100kg(ドライバー含む)を停止からわずか2.25秒で100km/hに到達させる加速性能が与えられている。最高速は270km/hに届く。
この新しい「ID.R」でフォルクスワーゲンは、マシンのエアロダイナミクス性能をニュルブルクリンク北コースに合わせて最適化。同コースにおける電気自動車最速ラップの樹立に挑む。ちなみに現在、同コースにおけるEV最速ラップタイムは、中国の新興メーカーでフォーミュラEに参戦している「NIO」のEP9が記録した6分45秒90だ。
すでに非公式ながらテスト走行がスタートしており、2019年の夏ごろには正式なタイムアタックが行なわれる見通しだ。このタイムアタックでステアリングを握るのは、2018年にパイクスピーク・ヒルクライムレースでID.Rを優勝に導き、さらにニュルブルクリンク24時間レースで4回の優勝経験を持つレーシングドライバー、アラン・デュマ選手である。
このたび進化版のID.Rを発表したフォルクスワーゲンは、同社のEVモデル「ID」シリーズの攻勢をさらに加速させる狙いもある。プロモーションの一環として、レーシングシミュレーターを用いてID.Rを運転できるオンラインレーシングシミュレーションもスタートさせている。実車さながらのドライビングエクスペリエンスが楽しめるこのシミュレーションにより、フォルクスワーゲンは「ID」の認知度を高めていく構えだ。