プレミアムセグメント屈指の趣味と実益を兼ね備えたEクラス
メルセデスのEクラス・ステーションワゴンは、プレミアムセグメント屈指の趣味と実益を兼ね備えたモデルだ。SUV全盛期の今、ワゴンの存在意義をどう見出すか。Eクラスのチーフデザイナー、ロバート・レズニックは、ドイツデザインの哲学である「バウハウス」の教えを忠実にデザインしたと語っている。これは徹底した機能美を追求したということである。
しかし、実際に乗ってみると、深い人間研究がEクラスの背景にあると感じた。例えばステアリングホイールを握ったら親指の形がピタッと合っていたり、掌がグリップするところは滑らないような形状(ポチポチが付いている)に加工されていたり、ヘッドライトスイッチはオフしにくいように設計されている。人間のミスや特性をよく知り尽くしたクルマ作りに改めて感心した。唯一、Aピラー付近の視界が悪かったのは気になったが、近い将来ミラーレスになれば、この部分の視認性も一気に高まるはずだ。こうしたインターフェイスの充実を重要視している点が、とてもメルセデスらしい。
またリアの足まわりにはエアサスを採用し、荷物を積んでも車高が変わらないオートレベリング機能を搭載。実際に走ると、静かなディーゼルユニットに感動するが、ハンドリングは少しスポーティなので走る楽しさも感じられた。リアまわりの剛性を高めるために、床下はワゴン専用のボディ補強パーツも付加されている。荷室にはディーゼルのNOx触媒用に尿素タンクが備えられ、スペース的にスペアタイヤを格納できないためランフラットタイヤを履く。