Eクラスにライバル出現、全方位で急成長したV90
ボルボは完全にV90をプレミアムセグメントにシフトする戦略を採った。今回テストした限り、ダイナミクスでは非の打ち所がないほど先進的なプラットフォームを持っていることが判明。エンジンが横置きにも関わらず、フロントタイヤがグッと前側に配置されており、タイヤの位置だけを見ると、まるでFR車のようなパッケージングが特徴的だ。
エンジンルームを覗き込むと、2L直4エンジンが横たわっている。しかし、ギアボックスとデフの配置を工夫し、しかもエンジンの揺れを最小限に抑え、細かい振動がキャビンに伝わらないように工夫している。そのためにアルミニウム製のトルクロッドでエンジンが支えられているのだ。
メルセデスと比べて劣るのは、ハーシュネスが硬いこと。そのため、昔のボルボが有していた「しなやかなアシ」はなくなった。また、高速周回路を走っている時にタイヤまわりから振動が感じられるのも気になった。タイヤの偏摩耗が原因として推測できるが、テスト車両固有の問題かもしれない。
DSTの対象外だが、高度な運転支援も充実しているメルセデスとボルボ。自動運転の領域でも技術競争を繰り広げている。いずれにしても、プレミアムの王様たるメルセデスの牙城を崩すべくチャレンジするボルボには敬服する。