
かつてはデートに大活躍!?
パジェロと言えば、プレリュードやシルビアのような2ドアクーペに代わるデートカーとして、トヨタのハイラックス・サーフと共にキャンプにスキーに大活躍し、一時代を築いたクルマとして記憶に残っています。
若者だけでなく、アウトドアアクティビティが趣味の中年層にも支持されていて、”モテるおじさん”も乗っていました。
会社の寮でも、先輩がパジェロに買い換えると、ここぞとばかりに山中湖にテニス、車山にスキー、相模湖にピクニックにと先輩のクルマを利用して「パジェロで行こう」と女の子を誘うなんてセコいことを計画したこともあります。
国内向けは37年の歴史に幕を下ろすことになったというニュースが飛び込んできたパジェロですが、やはり日本では本領発揮できる環境がそんなになかったことも大きな要因ではないかと思います。
そんなパジェロですが、海外では本格的に活躍できる場があるので、まだまだ生き延びるでしょう。
釣り好きには欠かせない機能があるというパジェロ
今回はオーストラリアで活躍するパジェロのお話です。
香港在住でオーストラリア・メルボルンにも家があり、釣り好きでしょっちゅう海辺にいるという優雅な暮らしをしている友人がいます。2018年11月に、その彼に誘われてウニ、アワビ、グラッパなど各種魚釣り三昧の一週間を過ごす機会がありました。
その彼は、2代目に長く乗り、3代目に買い換えたけど2代目も娘婿に譲り身近に残すほどのパジェロ好きです。買い換えるにあたって一応他のSUVも検討したのですが、どれも決め手に欠けたため結局3代目を買うに至ったのだそうです。
その一番の理由は、取り外せる3列目のシートと、3列目を格納するためのスペースに貴重品やこのポイントでは使わないものを隠せること。そこにしまい、ダッシュボードも開放して車内の見えるところには物を一切置かないようにしている。駐車場からかなり離れた岩場で長ければ一日中釣りを楽しむため、いかに治安がいいオーストラリアだとしても盗人がいないわけではなく、そうしておけば安心できるのだそうです。
ここぞパジェロが必要
釣りのポイントに近づくためには、国定公園の中などオフロードを長く走りますが、路面状況は様々。単に舗装されていない路面から前人未踏じゃないかと思しき道なき道まで随時状況が変わります。こんな状況こそこのクルマが真価を発揮する局面です。
そんなパジェロでもどうしようもないんじゃないかという場面に遭遇しました。目の前に横たわる太い倒木です。勢い付けてどーんと越えるか? さすがに無理でしょう。右に見えるちょっとの空間から抜けることにします。しかし、元々道路じゃないので第一段目が直角に近くその先の路面状況も悪い。トランスファーレバーを4Lに入れゆっくりと……しかし”どーんばうんばうん”と勢いよく越えてみました。
その先の木立の間が車幅ギリギリだったためオーナーは肝を冷やしたようですが、なんなくクリア。帰りも同様に。4WD車のトランスファーレバーを初めて操作しましたが、なるほどこのような局面では確かに必要でした。
オンからオフまでオールマイティ
実はパジェロを運転したのは今回が初めてでした。ハイウェイからオフロードまで一通りの道を体験できました。飽きるほどのストレートが続くのかと思いきや適当にアップダウンカーブがあるハイウェイでの走りもいいし、退屈なハンドリングでもない。片道6時間半のドライブも苦にならず。オフロードでも、オーナーを冷や冷やさせるような走り方を試してみましたが乗り心地も悪くないし安心感もある。意外に楽しい?
オーストラリアという特殊な環境での初体験に気分が高揚していたということを割り引いても、予想を超えた好印象でした。その時は、帰国したら買おうかなんて言っていたくらいです。

まさにそのポイントで鹿が二頭飛び出してきてぶつかった。当然初めての経験でしたがすごい衝撃だった。“どかーん、ごろごろごろ”という感じ。でも鹿はそのまま森へ帰っていった。警戒してスピードを落としていたにも関わらずカンガルーバーは曲がりグリルにめり込んでしまったのでとりあえず引っ張り出す。
でもやはり冷静に考えると、日本の環境や自分の趣味を考えると使い道がない。そこがパジェロの不幸だったのでしょう。
でも、地球のどこかで、パジェロが必要な場所での活躍は続いていくのでしょう。
国内向けは37年の歴史に幕。「三菱パジェロ」の「ファイナル・エディション」が発売