走り出しでわかるボルボディーゼルの至高
XC90 D5は2ステージターボを採用。低中回転用タービンは3000rpmまでの領域をカバーするが、高回転用は2000rpmから作動。つまり、2000-3000rpmの間はオーバーラップして、両方のタービンが作動することで低速時のスムーズさを生み出している。さらに、タービンが作動する前の2000rpm以下は、パワーパルスと呼ばれるコンプレッサーが、タービンが作動するまでのごく短い領域をサポートして、走り出しのターボラグを微塵も感じさせなく、ディーゼルとてフラッグシップSUVの品性に傷をつけることはない。
最高出力235ps、最大トルク480Nmを発揮するD5。上位グレードのT6・T8(400Nm)よりも、パワフルかつグランツーリスモ性を望む方にオススメのパワーユニットと言える。
3000rpmから向こう側は、さすがにガソリンエンジンのようなスキッとした気持ち良さは期待できないが、逆に今回試乗を行なった山形県のワインディングでは、2475kgの車重に加え、大人2人と撮影機材を積み込んでいても、豊かなトルクで山道をぐんぐん駆け上がってくれた。
そして、個人的に好印象だったのは、ステアリング操作時のどっしり感。弟分たちは、クイックかつインフォメーション少なめのステアリングフィールだが、XC90 D5のそれは、走行モードがデフォルトのコンフォートでも適度に重く、車体の大きさやパワフルなディーゼル感をステアリングを通してさりげなく訴えかけてくる。
品性があり滑らかだけれど、しっかりとディーゼル。ボルボの演出は、やはりニクイのだ。
3列シートをを装備するが、3列目だからといって安全性が損なわれることなく、どの席でも同水準の安全レベルが保たれる。