国内試乗

【国内試乗】「マツダ3プロトタイプ」鮮烈なデザインで攻める新世代マツダの狼煙

欧州Cセグメント車をロックオン!

日本の美意識に基づくデザイン、人間工学を徹底追求した走行性能などなど、独自のアプローチによるクルマ造りに邁進するマツダが、新世代商品の第一弾として打ち出してきたのがアクセラあらため「マツダ3」。斬新なデザイン、精緻なビルドクオリティなど実車を目の前にするだけでハッとさせられる仕上がりだが、では走らせてみた印象はー!?

線ではなく面で表情を作る手法はカーデザインの最先端。低いボンネット、弓なりのルーフライン、力強いCピラーなど見所は多岐にわたる。

今回ステアリングを握れたのは1.8Lディーゼル車と2Lガソリン車のみだったが、新型マツダ3ではこれらに加えてベーシックな1.5Lガソリン、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)の2Lエンジンと、4種類のパワーユニットが用意されている。一方で2.2Lディーゼル車はラインアップから消え、6速MT車も1.5L車とSPCCI搭載のスカイアクティブX(ともにファストバックのみ)に絞られている。

スポーティなファストバックに対してセダンは伸びやかなフォルムが印象的。全長差は200mmほどだが、実際にはそれ以上に見える。

ボディはファストバックと呼ぶ5ドアハッチバックと4ドアセダンが用意され、ともに先代アクセラに対してホイールベースは+25mm、全長はファストバックが10mm短く、セダンが80mm長く、全幅は変わっていない。ちなみに、海外仕様と統一したマツダ3の新車名は、マツダ新世代商品群第1弾をアピールする意味があり、今後、他車種も数字表記の車名にしていくかどうかは未定とのことだ。

マツダのデザインアイコンでもあるフロントエンドのシグネチャーウイングは、セダンがクローム、ファストバックがダークメタリックで区別される。

新生マツダ3の売りはなんといってもそのスタイリングと、いちから設計し直したというスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーにある。特にファストバックは前傾姿勢を思わせるクラウチングフォルムが強められ、太いCピラーの造形も相まってインパクトは大きい。一方のセダンも国産セダンとしてはかなり攻めた造形なのだが、ファストバックと並べるとコンサバに見えてしまう。だが、前後のデザインバランスがよく、流れるようなルーフラインも含めて飽きのこないスタイリングといえそうだ。ともにキャラクターライン(プレスライン)を使わず、大胆な曲面で仕上げたサイドの造形が特徴で、大径ホイールがよく似合うデザインといえる。

今回の試乗車は直噴の1.8L4気筒ディーゼル(下)と、ガソリンの2L4気筒(上)。注目のスカイアクティブXは今秋に追加設定。

まずは1.8Lディーゼルを搭載するファストバックを走らせたが、低速ではディーゼルとは思えないほど室内への侵入音が抑えられている。アクセルを強く踏み込んで加速するとさすがにディーゼル音が響くが、2000-2500rpm程度を保った巡航走行ではその音もグンと低くなる。室内の静かさはアテンザを凌ぎ、全グレードに標準装備される8スピーカーオーディオのサウンドの音を絞ってもしっかり聞き取れる。

低く水平基調のダッシュボード、シンプルで高品質なコクピット回りの造形は欧州勢をも凌ぐ。操作系の配置もよく吟味されている。

攻め込んでもスムーズにラインをたどれる操縦性は欧州Cセグメント車にひけをとらない

先代アクセラではカタログから消え、マツダ3で復活した2Lガソリンエンジン搭載車は、今回はセダンのみに試乗したが、停止からのフル加速時のエンジンノイズ(音圧)はディーゼルとあまり変わらない。だが、中速域の加速音はやはりガソリン車のほうが低く、ワインディング路の細かいコーナーでの立ち上がり時のアクセルに対するツキのよさもガソリン車に軍配が上がる。

写真はファストバック。スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーに連携する前席シートは調整幅が広く、サイサポートも備わる。後席の居住性も良好。

ボディ、シャシー、シート、タイヤなどを一元的に設計したスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーの効果は大きく、ガシッとした剛性感とは異なるが、低中速域では優しく軽快で、高速域でも安定感を保つ操縦感覚は従来のスカイアクティブ車を上回っている。今回は平滑なテストコース路面のみの走行だったのでロードノイズや乗り心地等の詳細なチェックはできなかったが、かなり攻め込んでもスムーズにラインをたどれる正確な操縦性は欧州Cセグメント車にひけをとらない。SPCCI搭載のスカイアクティブXは今年秋まで待たなければならないが、現行のガソリンおよびディーゼル車でもその進化を余すことなく体感できるはずだ。

荷室容量の記載はないが、67Lのゴルフバッグならファストバックは2個、セダンは3個収納可能という。両車とも後席シートバックは6:4分割可倒式だ。

15Sのベーシックグレード以外は18インチのアルミホイールが標準装備。グレー/ブラック塗装がモデルに応じて振り分けられる。

【Specification】マツダ3 XDプロアクティブ ツーリングセレクション[20S Lパッケージ]
■車両本体価格(税込)=2,858,800円[2,649,000円]
■全長×全幅×全高=4460×1795×1440[4660×1795×1445]mm
■ホイールベース=2725mm
■トレッド(前/後)=1570/1580mm
■車両重量=1410[1350]kg
■エンジン型式/種類=S8-DPTS/直4DOHC16Vターボ[PE-VPS/直4DOHC16V]
■内径×行程=79.0×89.6[83.5×91.2]mm
■総排気量=1756[1997]cc
■圧縮比=14.8[13.0]
■最高出力=116ps(85kW)/4000rpm[156ps(115kW)/6000rpm]
■最大トルク=270Nm(27.5kg-m)/1600-2600rpm[199Nm(20.3kg-m)/4000rpm]
■燃料タンク容量=51(軽油)[51(レギュラー)]
■燃費=(WLTC)19.8km/L[(WLTC)20.0km/L]
■トランスミッション形式=6速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後215/45R18(7J)
【問い合わせ】
マツダ 0120-386-919 https://www.mazda.co.jp/
リポート:田畑 修/O.Tabata フォト:郡 大二郎/D.Kori  ル・ボラン2019年8月号より転載
田畑修

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