新型クラウンは欧州車に対抗する術を得たのか
劇的に進化したクラウン。しかし欧州車はトヨタを上まわる勢いで、モデルイヤーごとに深化、熟成していく。この差は永遠に縮まらないのだろうか。私は決して欧州車信奉者ではない。むしろ日本車の応援団であり、30年も日本車と欧州車の差を実感してきて、欧州車を打ち破るクルマが登場する日を待ち続けているひとりだ。
クラウンはテストコースのようなフラットな路面を走る限り、レーンチェンジの安定性と収斂性が良く乗り心地も悪くない。ゆえに競争力のあるライバル車と比べても遜色ない領域まで到達していると思う。その部分はニュルで開発した効果なのだろうが、荒れた路面が続く、高速道路のようなシーンでは印象が一変する。それはロバスト性の問題なのだろうが……。
テスト前後、移動で走行した高速道路で気になったのは、わずかに発生するボディロール。それが抑えきれておらず、ACCとLKAS(車線維持機能)をオンにして走ると(自動運転レベル2)、ドライバーをアシストするのではなく、クルマのふらつきを人間が支援することになった。よほど運転が上手い人がクラウンの特性を把握して、デリケートなステアリング操作をすれば問題ないが、制御システムに任せると、人間のフィールと合わなくなる。結局、ロールダンピングなどの基本性能を高めないと制御もうまくマッチしないのではないだろうか。
クラウンを厳しく評価するのは、レクサスを含めて共通した課題があると思うからだ。高級車になるほど「乗り心地とNVH」、「ハンドリングとスタビリティ」などの背反事項を解決する必要がある。それができないと高級セグメントで競争などできない。