レクサス

【サーキット試乗】「レクサスRC/RC F」サーキット走行でわかった高い総合性能

RC Fはサーキットでの走りがダントツで楽しい

レクサスRC Fは登場から5年目となる2019年のデトロイト・ショーで世界初公開。新型は高性能なV8エンジンとサスペンション、そして空力性能とあらゆる点に改良が加えられているという。その実力を確かめるべく「RC」とともに富士スピードウェイで試乗した。

レクサスにとって、モデル名に加わる“F”は特別な称号である。開発テーマは「公道からサーキットまでシームレスに走りを楽しめること」としている。現在、GSとRCにFの称号が与えられている。そして今回、RC Fのマイナーチェンジを実施。単なるフェイスリフトではなく、軽量化と空力性能の向上に加えエンジンとシャシーの進化も実現。その結果、限界性能が高くなり優れた操縦安定性も獲得したという。

5L V型8気筒エンジンは自然吸気式。吸気系は完全な新設計でアクセル操作に対する応答性が向上しているという。最高出力の上乗せは4psだが、デフの最終減速を下げ加速の鋭さを増している。

実際に、試乗の舞台となった富士スピードウェイのレーシングコースでは想像以上の走りが体験できた。左ヘアピンカーブの立ち上がりから続く右300Rは、アクセルを床まで踏み込んだまま駆けぬけるコーナーだ。300Rといえば高速道のキツいコーナーと一致し出口では200km/hオーバーに達するだけに、超高性能モデルともなるとかなりの緊張が強いられる。ところが、RC Fのアクセルを踏み続けることに何のためらいもいらない。それどころか、コーナリング限界まではまだ奥行きアリという実感さえ得た。

新型RC Fはベースモデルも従来型と比べ20kg軽量化。このカーボンエクステリアパッケージはボンネット、ルーフ、アクティブリアウイングをCFRP製としさらに10kg軽減している。

「舵を最後まで効かせること」が重要な開発テーマ

さらに、ブレーキングしつつ最もタイトな右15Rに飛び込むと、進入がややオーバースピードぎみだったのでインにつけないと思いステアリングを切り足すと、ノーズがグイッと向きを変える。開発エンジニアによると「舵を最後まで効かせること」は重要な開発テーマだったとのこと。

カーボンエクステリアパッケージのインテリア。従来型はホワイトレザーをシート全面に採用。新型はLC譲りの新世代ホワイトレザーとブラックレザーの組み合わせに。

すでに、安定性と操縦性が優れていることが確かめられたので最大の勝負どころである右100Rで安心してコーナリング限界が極められる。進入時はブレーキの踏み加減、コーナリング中はアクセルの踏み加減で狙った走行ラインをトレース。その過程で、前後のタイヤは少なからずスライドするが挙動変化は想定範囲内だ。

パフォーマンスパッケージのエアロはRC Fによるモータースポーツ活動で得たノウハウを投入。ブレンボ製ブレーキキャリパーに組み合わせるローターはカーボンセラミック製で4連エキゾーストマフラーはチタン製だ。

RC Fは、いきなり限界を超えそうな危なっかしさを感じないモデルだ。そのため、数ある超高性能モデルの中でもサーキットでの走りがダントツで楽しみやすい。
だからといって、刺激が足りないわけではない。エンジンは、最高出力を4上乗せし481を発揮。アクセル操作に対する出力特性が非線形から一直線になっているので、スペック以上に高回転域でパワーが伸びる感じがする。

RCとRC Fは従来型がヘッドランプにL字型のLEDクリアランスランプを組み合わせていたが新型はそれを一体化。リアコンビネーションランプや前後バンパーとグリルも一新された。インテリアではアナログクロックを新採用したことに注目。

さらに、新たに追加された走り最優先のパフォーマンスパッケージはチタン製の4連エキゾーストマフラーを装備。ノーマルと比べ中回転域での音量を高めているだけに、エンジン回転数に対して一直線でパワーが上昇する感覚をサウンドでも演出している。しかも、チタンならではの高周波サウンドが加わるので、1.5kmのストレートエンドで250km/hを超える際のスピード感にシビレてしまう。なおかつ、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)製の専用エアロパーツは最適なダウンフォースを発生させるので、超高速域での安定性はノーマルをはるかに超えていた。
ところで、RC Fと同時にRCのマイナーチェンジも実施した。なかでも、3.5LのV型6気筒を積むRC350は舞台が公道なら意外なほど迫力ある走りが楽しめる。ただ、RCはスポーティなだけではなくラグジュアリーな一面もある。そんな走りを期待するなら、2.5Lの直列4気筒にモーターを組み合わせるRC300hがオススメだ。快適な乗り心地とスッキリとスムーズなステアリングの切れ味も実現していた。

【Specification】レクサス RC350 Fスポーツ[RC Fパフォーマンスパッケージ]

■全長×全幅×全高=4700×1840×1395[4710×1845×1390]mm
■ホイールベース=2730mm
■トレッド(前/後)=1580/1570[1555/1560]mm
■車両重量=1700[1720]mm
■エンジン型式/種類=2GR-FKS/V6DOHC24V[2UR-GSE/V8DOHC32V]
■内径×行程=94.0×83.0[94.0×89.5]mm
■総排気量=3456[4968]cc
■最高出力=318ps(234kW)/6600rpm[481ps(354kW)/7100rpm]
■最大トルク=380Nm(38.7kg-m)/4800rpm[535Nm(54.6kg-m)/4800rpm]
■燃料タンク容量=66L(プレミアム)
■燃費=(JC08)10.2km/L[(WLTC)8.5km/L]
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前Wウィッシュボーン/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前235/40R19(8J)[255/35ZR19(9J)]、後265/35R19(9J)[275/35ZR19(10J)]
■車両本体価格(税込)=7,070,000円[14,040,000円]

【問い合わせ】
レクサスインフォメーションデスク 0800-500-5577 https://lexus.jp/models/rcf/

リポート:萩原秀輝/H.Hagihara フォト:小林俊樹/T.Kobayashi  ル・ボラン2019年8月号より転載
萩原秀輝

AUTHOR

在学中よりレポーターとして活動し、ツーリングカーレースにも参戦。それらの経験を生かし「クルマの走り」と「ドライビン グの理論」について深い洞察力を持つ。また、クルマに対する知識とドライビング理論に基づき、自動車メーカーなどが主催する安全運転教育の講師を務めた経験も多数。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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