清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number95(SEASON.11):ニュルで鍛えたシャシー性能を武器に強豪440iに挑んだ新型クラウン
トヨタ・クラウン 2.0 RSアドバンス vs BMW 440i グランクーペ Mスポーツ/Test03:ダブルレーンチェンジ
●テストの「方法」と「狙い」:80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
トヨタ クラウン 2.0 RS アドバンス vs BMW 440i グランクーペ Mスポーツ(ダブルレーンチェンジ編)
トヨタ クラウン 2.0 RS アドバンス vs BMW 440i グランクーペ Mスポーツ(ハイスピードライディング編)
キャラを決定する部分に関与する制御思想の巧さで440iが優勢
BMW 440i GRANCOUPE M SPORT
操縦安定性:★★★★☆
平均通過速度:72.87km/h(2回平均)
モデル末期のプラットフォームだが、ハンドリングはさすがBMW。ステアリングは正確無比、狙ったポイントで急ハンドルを切ると瞬時にレーンチェンジが完了する。ステアリングの効きとロールダンピングがピタリと合い、基本となるシャシー性能と電子制御が見事に調和して、ドライバーの操舵に忠実に動く。ESC(DSC)の介入はあるが、かなりドライバーを信用した制御で、ギリギリまでドライバーとクルマの一体化を尊重したセッティングがBMWらしい。ウェット旋回では不甲斐ない結果だったが、ドライのハンドリングは立派だった。やはりBMWはドライバーズカーなのだと強く感じた。
クラウンはVSCの効きを高めてきめ細かくチューニングするべきかも
TOYOTA CROWN 2.0 RS ADVANCE
操縦安定性:★★★☆☆
平均通過速度:71.58km/h(2回平均)
データで記録した平均通過速度はそのままシャシー性能の優劣を決めるものではない。安定性を重視するクルマはESCのブレーキ制御を強めに介入させるからだ。つまり明確な考えがあるかどうかがポイントとなる。1回目のレーンチェンジはなんとかこなしたクラウンだったが、VSCの介入と効きが弱いので、元のレーンに戻るときに車速が高く、アンダーステア気味となった。ロールの揺り戻しもやや大きく、もう少しVSCの効きを高めて車速を落とせば、元のレーンに戻る時にステアリングの正確性が維持できるはずだ。この部分をもう一歩、きめ細かくチューニングするべきかもしれない。