人気のSUVにするか熱い走りのAMGか?
SUV
GLC 220d 4MATIC COUPE SPORTS
Cクラス相当にしておけばSUVにだって手が届く。それも満足度の高いスペックのディーゼル4WD、GLC220d 4MATICのクーペバージョンだって700万円台だ。車両重量はCクラスステーションワゴンに比べれば170kg重たい1960kgだが、ディーゼルだったら余裕はたっぷり。SUVボディになると静粛性がより高くなってエンジンの存在を忘れてしまうほどだ。
シャシーは背の高さを意識させない操縦安定性と快適な乗り心地がバランスしていて、これぞ現代の乗用車のメインストリームと言いたくなるほどレベルが高い。コンベンショナルなサスペンションで実現しているのも見事だ。クーペは後席があまり広くはないものの、ヘッドルームは心配するほど狭くはない。後席重視ならやはりEクラス相当にすべきだが、それなりには使える。また、ラゲッジルームはGLCよりも容量は減るものの、ボディ後端が伸びていることで奥行きはあるから案外と使い勝手がいいだろう。2人乗りでロングドライブに出かけるには最強の全天候型ロングツアラー・クーペといったところだ。
プレミアムカーでも熱く走りたい人にはAMG
AMG
CLA45 4MATIC
予算的にはAMGもギリギリ選択肢に入ってくる。現行ではメルセデスAMG CLA45 4MATIC一択。コンパクトな4ドアクーペに381ps、475Nmの飛び切り生きのいい2Lターボを搭載した過激なモデルだ。
この世代のコンパクトメルセデスはアクセルペダルが妙に軽々しいのが気になるが、構わず踏み込んでいけば弾けるように加速。6000rpmオーバーまで一気に回り、バブッとレーシングカーのようなサウンドとともに電光石火のシフトアップをしながら突進していく。トンネルの中で全開加速を試すと、アーケード型レースゲームのような非現実感があって夢心地になる。
サスペンションは硬いものの、初期に比べると入力の尖り感が収まっていて乗り心地は意外と悪くない。「4ドアだからいいでしょ」と家族を騙して(!?)購入しても大きな文句は出ないだろう。落ち着きのある伝統的なメルセデス・サルーンとは異質だが、これだけのパフォーマンスを小さなボディで破綻なくまとめあげ、高級感も合わせ持つのはさすが。プレミアムカーでも熱く走りたい人には持ってこいのモデルだ。
同じ600〜700万円台のメルセデスでも、改めて乗り比べてみるとこんなにも乗り味や気分が変わるものかと驚いた。多様性の広がり感が半端ないのが現代のメルセデスなのだ。個人的な好みで言えば、この上なく贅沢な気分にさせてくれたE200カブリオレに惹かれている。自分もフル4シーターオープンの優雅さが心に染みる年齢になってきたということだろう。