自治体と日産の協定では熊本市が九州初に
熊本市と日産自動車、ならびに日産の販売会社である熊本日産自動車と日産プリンス熊本販売の4者は7月22日、「電気自動車を活用した持続的なまちづくりに関する連携協定」を締結したと発表した。
この協定の内容は、熊本市が「電気自動車(EV)の普及を通じて、温室効果ガスの削減や地域課題解決に取り組むとともに、地震災害等による大規模停電が発生した際、市が指定する避難所等において、日産の販売会社である熊本日産自動車およびプリンス熊本販売より貸与される電気自動車(EV)「日産リーフ」を電力源として活用することで、避難所の円滑な運営を行ない市民の安全確保に努める」というもの。
熊本市は、地方自治体による持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け優れた取り組みを提案する都市として内閣府により認められ、2019年7月1日に「SDGs未来都市」に選定された。
この連携事業は、熊本市が「熊本地震の経験と教訓をいかした地域(防災)力の向上事業」として国に提案。2019年度の「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」に選定され、特に先導的な取り組みとして認められた事業の一環となる。
一方、日産自動車は日本が抱える環境負荷低減や災害対策等の課題を解決するため、昨年5月に日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を発表。その活動を牽引するリーダーとして、全国の自治体や企業と協力してEV普及を通じた社会の変革に積極的に取り組んでいる。この日産自動車が推進する「ブルー・スイッチ活動」、そして、熊本市の「SDGs未来都市」と、双方の取り組みにお互いが賛同し、今回協定の締結を行なう運びとなった。
熊本市は3年前の熊本地震後、「熊本市震災復興計画」を策定する中で防災・減災のまちづくりの取り組みとして災害に強い自立・分散型のエネルギーシステムの構築を計画。清掃工場を核としたエネルギー事業を展開している。熊本市が出資した地域エネルギー会社が市施設への電力供給事業を行なうほか、大型蓄電池や自営線の設置およびEV充電拠点などの整備を行なうことで、エネルギーの地産地消の推進や地域内経済循環に加え防災力の強化を図るものとなっている。
熊本市のエネルギー事業における特徴は、市の清掃工場で発電した電力を使用すること。清掃工場が停止しない限り発電をし続けるため、EV充電拠点を通じて「自立・分散型の電力」を確保できる。この「自立・分散型の電力」をEVに充電、災害時に供給することは全国初の取り組みだとか。また、自治体と日産との協定では、熊本市が九州初の連携パートナーとなる。
3年前の熊本地震発生の際、日産自動車は熊本の販売会社と連携して義援金拠出のほかEVの「リーフ」と「e-NV200」合わせて約100台を貸与。さらに、飲料水や白米などの必要物資の支援を行ない熊本市と絆を強めてきた。熊本市と日産自動車は、今後もこの協定締結を機に温暖化対策の推進と災害に強いまちづくりや、EVの普及を通じたさまざまな地域課題の解決によるSDGsの達成に向けて連携を強化していくという。