清水和夫のDST

アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・ファーストエディション vs ポルシェ・マカン 情熱のイタリアンSUVが、ベンチマークたるジャーマンSUVに挑む【清水和夫のDST】#96-1/4

イタリア車らしいホットなステルヴィオ

ステルヴィオに乗り込むと、エンジンスターターの位置と、ステアリングホイールとは独立したパドルシフトがフェラーリとまったく同じ位置にあることに気づく。フェラーリのオーナーが自然に乗れるという思想なのだろう。高速道路では本当に気持ち良く走れ、ジュリアと同じくクイックなギアレシオを持つステアフィールにはあまり遊びがない。このダイレクト感こそが最大の特徴である。

マカンはステルヴィオとは違って、ステアリングはクイックではないが、重い操作感と剛性感があり、塊のようにクルマ全体が動き、ステアリングのフィールとボディロールの動きが見事に一体化。911から貫かれているソリッド感が受け継がれている。

キャラクター的にはまったく異なる2台だが、両車の違いがさらに明確になったのがダブルレーンチェンジだ。素早いステアリング操作でクルマがどのくらい俊敏に動けるのか。そして、すぐに安定した状態に戻れるのか。一秒以内で生じる俊敏性と収斂性の挙動バランスが問われるテストで、ステルヴィオは素早く、マカンはバランスよくレーンチェンジ。マカンの方がより万人向きで、ステルヴィオの方がスポーティなのである。

時に天才的なクルマ作りをするアルファ・ロメオだが、テスト中に色々なアラートが間違って表示された。例えば「ウインドー・ウォッシャーが出ません!」だったり……。イタリア人は自分たちの好きな仕事は一生懸命突き詰めてやるけど、あまり気にしていない部分はルーズなのかもしれない。
世界中に生息するイタリア車好きが、その愛でダメな部分を許しているとしたらそれは大きな間違いで、品質は徹底的に改善してもらいたい。アルファ・ロメオを評価する時にいつまでも愛が必要では困ったものである。

リポート:清水和夫/K.Shimizu フォト:篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン 2019年2月号より転載

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