
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number97(SEASON.11):Bセグメントのホットハッチを標榜する、コンパクトスポーツの熾烈な覇権争い
フォルクスワーゲン・ポロGTI vs ミニ・ジョン・クーパー・ワークス/TEST03:ダブルレーンチェンジ
●テストの「方法」と「狙い」:80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
VW ポロ GTI vs MINI ジョンクーパーワークス 3ドアハッチ(ダブルレーンチェンジ編)
W ポロ GTI vs MINI ジョンクーパーワークス 3ドアハッチ(ハイスピードライディング編)
シャープなハンドリングが秀逸なミニJCW
MINI JOHN COOPER WORKS
●操縦安定性(★★★★☆)
●平均通過速度:71.36km/h(2回平均)
ミニの操縦性のベンチマークはゴーカートだ。BMWがミニを開発した時からの掟だが、そのシャープなハンドリングは、走るのが楽しくなるだけでなく、危険回避の場面でも有効な操縦性を発揮する。ダブルレーンチェンジでは、ステアリングを操舵した際のレスポンスがポロGTIとまったく異なる。ポロはステアリングを切った後にESCを介入させるが、ミニJCWはステアリングを切った瞬間にDSC(ESC)を作動させ、ブレーキ介入によって速度を落とす。ステアリングを切った際のヨーイングがポロよりもシャープだ。トーションビーム式リアサスの特性を考えると納得できる制御だろう。
シャシーの基本性能で踏ん張るポロGTI
VOLKSWAGEN POLO GTI
●操縦安定性(★★★★☆)
●平均通過速度:75.34km/h(2回平均)
ポロの優れた点は、その卓説した安定性にある。GTIのようなスポーツ系モデルでも、その特性は残されており、誰が運転しても、安心できる操縦性の高さが魅力のひとつといえるだろう。ダブルレーンチェンジではその良さが発揮され、まさにお手本のような挙動だった。舵の効きと安定性のバランスが見事で、一切の恐怖心を抱かずに、急ハンドルで危険回避を行なうことが可能だ。SモードにするとESC(ESP)の敷居値が変わるので少しテールスライド気味になるがそこから破綻することはなかった。ESCの介入はさほどきつくなく、ブレーキ制御が介入しないため、通過速度はミニJCWよりも高かった。