国内試乗

【国内試乗】いかなるシーンにもマッチする「MINI」! 変わらぬ愛らしさに多彩な個性をプラス

走りのキャラは多種多彩モデル選びは嬉し悩まし

MINI COOPER 3 DOOR

アレック・イシゴニス卿が設計したクラシック・ミニのイメージを色濃く残す3ドア。コンパクトなグリーンハウスと逞しいウエストライン、四隅にタイヤを配したデザインで安定感を表現。2018年春のフェイスリフトで前後ライトまわりの意匠を変更している。

このゴーカートフィーリングは、2代目を経て現行型となる3代目ミニにも受け継がれた。特に、元祖の直系となる3ドアはステアリングを切り込むと、“スパッ”と音を発したのかと思えるほどハンドリングがシャープなのだ。しかも、荒れた路面で大ざっぱにアクセルを踏み込むと、最近ではめずらしいステアリングの舵角が変わりかねないくらいのトルクステアが生じる。ハッキリいって乗り心地も硬めだ。

大型メーターやセンタークラスターなどの円をモチーフにしたデザインとクラシカルなトグルスイッチ等で構成されるユニークなインテリア。通信機能内蔵の最新インフォテイメント機構はスマホ連携アプリにも対応。

でも、こうしたハードな感触は想定内といえる。このセグメントとしてはゼイタクな高剛性ボディとリアのマルチリンクサスペンションを継続採用しているのだから、快適さ重視なセッティングも可能なはず。それをしないところが、いかにもミニらしい特徴でもある。

MINI COOPER S 5 DOOR

BMWグループ生産3世代目のF55として追加投入された5ドア。独特なアイコニックデザインと走行フィールを損なうことなく、後部ドアの追加とホイールベースおよび全長のストレッチで十分な居住空間を創出した。

しかし、ボディタイプが増えた現代のミニは、モデルによって少しばかり走りのキャラクターが違ってくる。後席に大人が座ると窮屈な思いをさせられる3ドアに対して、大人の4名乗車を可能にするべくホイールベースを延長した5ドア。ワゴン的ポジショニングのクラブマンは、ホイールベースがさらに長い。これらは、ハンドリングではゴーカートフィーリングを維持しながら、ホイールベースに比例してスタビリティが高くなり、ピッチングも抑制できる。なので快適性も向上する。

MINI CONVERTIBLE

新生ミニ初代から継続するコンバーチブルも人気モデル。現行型は1.5L直3(クーパー)と2L直4(クーパーS)のガソリン過給エンジンに7速DCTを組み合わせる。電動ソフトトップは前席上だけのスライド開閉もできる。

SUV的ポジションのミニ・クロスオーバーは、キャラクターからしてハンドリングよりもスタビリティを優先している。それでも、同セグメントのSUVモデルと比べても切れ味が心地よいハンドリングが楽しめる。しかも、クロスオーバーにだけ設定されるPHEVのクーパーSEは、走りの洗練度がイチバン高い。

MINI COOPER S CLUBMAN

ミニのエステートモデルとなる「クラブマン」は、特徴的な観音開きの「クラブドア」を現行型からスタンダードな4枚ドアに変更。使い勝手を向上させつつも、リアゲートは伝統的な左右対称の観音開きを継承している。

フロントに1.5Lの直列3気筒ターボエンジン、リアにモーターと外部電源により充電可能なバッテリーを積むので前後重量配分が最適化、ボディ自体も補強されているためだ。さらに、バッテリー容量が十分ならモーターだけでFR的な走行が可能であり、当然ながら優れた静粛性も得ている。その意味で、クロスオーバーはお嬢様キャラ担当ともいえる。

MINI COOPER S E CROSSOVER ALL4

BMWグループ共通プラットフォームで誕生した、ミニ史上初の5ドアSUVモデル。ミニのイメージを維持しながら豊かな居住スペースを実現して、ミニの好調なセールスを牽引。本格的4WDシステムの採用もトピック。

ところで、ミニのゴーカートフィーリングはハンドリングだけから実感できるわけではない。システム出力が224psに達するPHEVは、アクセルを踏み込んだときの加速がパワフル。各モデルに用意される2Lの直列4気筒ターボを積むクーパーSは、アクセル操作に対するレスポンスが超ダイレクトであり、一気に踏み込めば強烈にダッシュ。高性能版のJCWともなると、弾丸が飛び出すような加速すら楽しめる。

3ドア(211L)、5ドア(278〜941L)、クラブマン(360〜1250L)と、それぞれ荷室へのアプローチが個性豊かで、分割可倒式後席シートバックでスペースは拡大可能。クロスオーバー(450〜1390L)はリアバンパーがベンチになるクッションをボード下に格納。

その一方で、ミニ・ワンの1.5L直列3気筒ターボは実用性を優先したエコユニットだ。同エンジンの高性能版を積む3ドアと5ドアのクーパーは、刺激こそ期待できないが加速の軽快さはいかにもミニらしい。おまけにディーゼルターボも用意され、モデルにより1.5L3気筒か2L4気筒とその高性能版を搭載。経済性を優先してもいいし、圧倒的な力強さを実感することもできる。

最高出力231psと最大トルク350Nmを発揮する、ハイチューン版の2L直4ターボを搭載したJCW(ジョンクーパーワークス)を5ドアを除く全ボディタイプに設定。スポーティさを際立たせた専用の内外装も与えられる。

こうなると、もう何でもアリの状態だ。スタイリッシュな純正オプションも多彩なので、お気に入りのモデルを選ぶのもひと苦労。いや、その過程こそミニならではのエンターテイメントなのだ。

多種多様なボディとパワートレインに特別なペイントやアクセサリーを組み合わせた特別仕様車も随時リリース。ミニ誕生60周年記念モデルをはじめ、異業種ブランドとコラボしたスタイリッシュな限定仕様も魅力のひとつ。

【問い合わせ】
MINIジャパン 0120-3298-14

リポート:萩原秀輝/H.Hagihara フォト:菊池貴之/T.Kikuchi ル・ボラン2019年8月号より転載
萩原秀輝

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