試乗記

【比較試乗】「ホンダ NSX vs マツダ ロードスターRF vs ニッサン GT-R vs トヨタ GRスープラ」世界に挑戦する日本の絶対的エースを決す!

待ちに待った復活を遂げた日本が誇るスーパースポーツ、ホンダNSX。そして毎年のように進化を遂げているニッサンGT-R。さらに、今回は世界の名だたるオープンスポーツとして人気を博しているマツダ・ロードスターと、2017年にフルモデルチェンジを遂げたトヨタGRスープラを集めた。果たして日本を代表するスポーツカーに相応しいモデルは? 各ブランドの実力をチェックしてみよう。

日本を代表する4台は独自の存在感を放つ

今の日本はスポーツカー王国。そう称しても決してオーバーではないだろう。何しろ多くの自動車メーカーが、様々なカテゴリーや価格帯にまたがった魅力豊かなモデルを数多く取り揃えているのだ。世界を見渡しても、こんな国はそうはない。

マツダ ロードスターRF/トヨタ GRスープラ

そんな中から難儀しつつ選出したのはホンダNSX、ニッサンGT -R、トヨタGRスープラにマツダ・ロードスターRFの4台。これらを見ても、キャラクター含めて互いにまったく被っておらず、それぞれに独自の存在感を放っているのは明らかだ。
それだけに、ここからたったの1台に絞るのが、簡単ではないことは自明である。果たして、最後に浮かび上がるのはどのモデルになるのか。とにかく順に見ていこう。とりあえずは便宜上、価格順に並べていくことにする。
新世代のハイブリッドスポーツカーとして復活したホンダNSXは、何よりV型6気筒3.5Lツインターボエンジン+3モーターという独創のパワートレインが魅力だ。左右前輪を別々の電気モーターで駆動することによるトルクベクタリングは、デビュー当初こそ違和感を覚えさせるものでもあったが、調律し直された最新型では異次元のコーナリング感覚を気持ちよく堪能できるようになっている。特に、その効果がもっと強く出る「SPORT+」モードで走るワインディングロードは快感の一言である。
それだけじゃない。このシステムはパワーフィールも大きな魅力だ。V型6気筒3.5Lツインターボエンジンは過給ユニットとは思えないほど鋭く吹け上がるが、実はこの圧倒的なリニアリティにはアクセルオンでの過給ラグを瞬間レスポンスで打ち消す電気モーターが貢献している。これらの旨味を引き出す9速DCTの端切れの良い変速ぶりもお見事。ハイブリッドをスポーツカーに使うとこれだけのことができるのだという可能性を、まざまざと見せつけてくれる。

ニッサン GT-R/ホンダ NSX

初代と同様、その名の通りの新しいスポーツカー体験ができるNSX。2018年のマイナーチェンジで開発拠点が日本に移された最新型は、見事な進化を遂げたと改めて感心させられた。
ニッサンGT -Rも先般フェイスリフトを受けたばかりだ。スペックに大きな変更はないものの、乗ればその走りは明らかに洗練度を高めている。
今や最高出力570ps、最大トルク637Nmに達するエンジンは気密性を高めるアブレダブルシールを採用したターボチャージャーによりレスポンスを一層向上させている。いかにも精密な機械に触れているという実感をもたらす吹け上がり、そして圧倒的なパワーとトルクの前では、日本の法定速度が恨めしく思えてくる。
凄まじい剛性感を誇るボディに、しなやかな接地性を実現したサスペンションの組み合わせは、高い快適性のみならず優れたロードホールディングにも繋がっている。トランスアクスルレイアウトや電子制御式4WDとも相まって、最高のスタビリティ、そしてトラクションを発揮するから、やはりアクセルペダルをもっと踏み込みたいという誘惑に駆られることになるのだ。登場から12年にもなるのに、未だ感動をもたらすこのパフォーマンス。GT -Rはやはり日本の誇り、宝である。

従来のトヨタ車のイメージを覆す

話題のトヨタGRスープラは、皆さんよくご存知の通り、BMWとの共同開発で生まれた。具体的には、基本的な車体寸法やパッケージング、サスペンションのレイアウトやボディ剛性等々の基本設計はピュアスポーツを目指すトヨタと、BMWの両社共同で行なわれ、その後の開発もすべて別々に、すなわちスープラはあくまでトヨタの手で生み出された。よってこのクルマを日本代表の中に入れるのは、決して間違いではないのだ。

TOYOTA GR SUPRA/トヨタ GRスープラ

しかしながらその走りっぷりが、従来のトヨタ車のイメージを覆すほど本格的と感じさせるのは事実である。軽い操舵感のステアリングを切り込むと驚くほどシャープにノーズが引き込まれる。ショートホイールベース、高いボディ剛性、そしてアクティブディファレンシャルなどの相乗効果だ。少々やり過ぎとも感じなくはないが、凄まじく刺激的であることは間違いない。
その上、エンジンはストレート6。吹け上がりは至極滑らかで、しかも回転が高まるほどに芯が出てくる。8速ATにもう少しダイレクト感が欲しいが、それでも走りは十分に爽快だ。

TOYOTA GR SUPRA/トヨタ GRスープラ

特にフットワークにはピーキーな面もあるが、じっくり付き合い、それを手懐けていくのも悪くないだろう。スープラがピュアスポーツカーの新たな、魅力的な選択肢に加わったことは間違いない。

オープンの気持ちよさを目一杯満喫できる

そして最後は今年が生誕30周年という記念すべき年となるマツダ・ロードスター。試乗車は電動メタルトップルーフを備えたクーペ版のRFである。

MAZDA ROADSTER RF/マツダ ロードスターRF

時代のニーズに合わせて少しずつ拡大してきた車体を原点回帰とばかりに小型軽量化し、エンジン排気量も縮小して登場した現行の4世代目ロードスター。RFはそうしたピュアスポーツ路線とは一線を画する存在だが、単にルーフをソフトからハードに置き換えただけでなく、クーペフォルムや2Lエンジンの搭載などによって別の魅力を付与することに成功している。運転席に陣取って、早速ルーフを開ける。リアウインドーと一体になって、カラクリのようにそれが収納されるまでは、わずか10秒少々に過ぎない。

MAZDA ROADSTER RF/マツダ ロードスターRF

走り出すと、オープンの開放感はもちろん享受できる一方で、リアクウォーターピラーが残る分、いい意味で周囲に対して開け過ぎておらず、気恥ずかしさのようなものが薄らぐことに気付いた。おかけでオープンの気持ちよさを目一杯満喫できる。
より高回転型へと調教し直された最高出力184ps、最大トルク205Nmを発生する2Lエンジンは従来のそれよりも格段に回す快感にあふれているし、トルクがあるから100kg以上も増えた車重を苦にしない。フットワークだって十分軽快で、適度なペースで流すだけでも走る歓びを実感できる。もちろん、連続するコーナーと徹底的に対峙したいならソフトトップ版を選べばいい。どちらも心地よい二つの世界が用意されているのも、ロードスターの魅力である。
さて、そろそろ結論に行かなければならない。個人的にNSXには相当惹かれる。最先端のテクノロジーが切り拓いた新しい操る歓びは、このクルマでしか味わえない個性だ。

MAZDA ROADSTER RF/マツダ・ロードスターRF、つい性能競争に陥りがちなスポーツカーだが、ロードスターはそこと一線を画している。「日本が世界にスポーツカーを教えている」そんな誇らしい存在であることもロードスターを選んだポイントだ。

一方で円熟味すら感じさせるGT -Rも、いまだ強いオーラを放っているのは否定できない。生まれたばかりのGRスープラのこれからの進化も期待は大きい。
そしてロードスター。この中では絶対性能的に特筆すべきものではないが、走れば理屈抜きにファンだし、何より価格がアフォーダブル。質こそ深まれど初代から変わらない精神は健在と感じ、嬉しくなる。
しかも、世界中であれだけ生まれたフォロワー達のほとんどが退場していく中、その火を消すことなく、むしろ輝きを増しているのだから素晴らしい。日本代表として推すべきは、やはりロードスターを置いて他にはないというのが結論である。

MAZDA ROADSTER RF/マツダ ロードスターRF

サスペンションやボディ剛性をソフトな方向へ見直し、ステアリングの手応え感を増したことでソフトトップ車とはひと味違う走りを見せるRF。また、2Lエンジン搭載でドライビングの余裕度は増している。RSは6速MTのみの設定で、ほかのグレードには6速MTと6速ATが用意される。

【Specification】MAZDA ROADSTER RF RS
■全長×全幅×全高=3915×1735×1245mm
■ホイールベース=2310mm
■車両重量=1100kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V/1997cc
■最高出力=184ps(135kW)/7000rpm
■最大トルク=205Nm(20.9kg-m)/4000rpm
■トランスミッション=6速MT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/45R17:205/45R17
■車両本体価格(税込)=3,812,400円(9月26日現在)
お問い合わせ
マツダ 0120-386-919

TOYOTA GR SUPRA/トヨタ GRスープラ

スープラのホイールベースは、2シーターに割り切ることで86よりも100mm短い2470mmを実現している。また、重心高は86よりも低いという。RZは歴代スープラに採用されてきた直列6気筒エンジンの伝統を継承し、3L直6ターボエンジンを搭載する。

【Specification】TOYOTA GR SUPRA RZ
■全長×全幅×全高=4380×1865×1290mm
■ホイールベース=2470mm
■車両重量=1520kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2997cc
■最高出力=340ps(250kW)/5000rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1600-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/40ZR19:275/35ZR19
■車両本体価格(税込)=6,900,000円(9月26日現在)
お問い合わせ
トヨタ自動車 0800-700-7700

 

HONDA NSX/ホンダ NSX

カーボンファイバーで覆われた3.5L V6ツインターボと3基のモーターで構成されるパワーユニット。サスペンションは、フロントにダブルウイッシュボーン、リアにウイッシュボーンを採用。リアスポイラーやリアディフューザーにはカーボンファイバーが採用され、軽量かつ優れたエアフローを実現する。

【Specification】HONDA NSX

■全長×全幅×全高=4490×1940×1215mm
■ホイールベース=2630mm
■車両重量=1800kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ツインターボ/3492cc
■最高出力=507ps(373kw)/6500-7500rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/2000-6000rpm
■モーター種類/交流同機電動機
■モーター最高出力=前:37ps(27kw)/4000rpm( 1基当たり)、後:48ps(35kw)/3000rpm
■モーター最大トルク=前:73Nm(7.4kg-m)/0-2000rpm(1基当たり)、後:148Nm(15.1kg-m)/500-2000rpm
■トランスミッション=9速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:ウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35ZR19:305/30ZR20
■車両本体価格(税込)=23,700,000円(9月26日現在)
お問い合わせ
本田技研工業 70120-112010

 

NISSAN GT-R PREMIUM EDITION/ニッサン GT-R プレミアム エディション

毎年、着実にアップデートを重ねてきたGT-R。先日、2020年モデルとしてさらなる改良が施された。ブレーキは、従来よりも軽い踏力で制動力が立ち上がるような初期の効き感を向上させている。ボディカラーには、見る角度により表情を変えるワンガンブルーを新設定。

【Specification】NISSAN GT-R PREMIUM EDITION

■全長×全幅×全高=4710×1895×1370mm
■ホイールベース=2780mm
■車両重量=1770kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ツインターボ/3799cc
■最高出力=570ps(419kW)/6800rpm
■最大トルク=637Nm(65.0kg-m)/3300-5800rpm
■トランスミッション=6速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/40ZRF20:285/35ZRF20
■車両本体価格(税込)=12,105,720円(9月26日現在)
お問い合わせ
日産自動車 0120-315-232

フォト=宮越孝政/T.Miyakoshi ル・ボラン2019年11月号より転載
島下泰久

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