オープンの気持ちよさを目一杯満喫できる
そして最後は今年が生誕30周年という記念すべき年となるマツダ・ロードスター。試乗車は電動メタルトップルーフを備えたクーペ版のRFである。
時代のニーズに合わせて少しずつ拡大してきた車体を原点回帰とばかりに小型軽量化し、エンジン排気量も縮小して登場した現行の4世代目ロードスター。RFはそうしたピュアスポーツ路線とは一線を画する存在だが、単にルーフをソフトからハードに置き換えただけでなく、クーペフォルムや2Lエンジンの搭載などによって別の魅力を付与することに成功している。運転席に陣取って、早速ルーフを開ける。リアウインドーと一体になって、カラクリのようにそれが収納されるまでは、わずか10秒少々に過ぎない。
走り出すと、オープンの開放感はもちろん享受できる一方で、リアクウォーターピラーが残る分、いい意味で周囲に対して開け過ぎておらず、気恥ずかしさのようなものが薄らぐことに気付いた。おかけでオープンの気持ちよさを目一杯満喫できる。
より高回転型へと調教し直された最高出力184ps、最大トルク205Nmを発生する2Lエンジンは従来のそれよりも格段に回す快感にあふれているし、トルクがあるから100kg以上も増えた車重を苦にしない。フットワークだって十分軽快で、適度なペースで流すだけでも走る歓びを実感できる。もちろん、連続するコーナーと徹底的に対峙したいならソフトトップ版を選べばいい。どちらも心地よい二つの世界が用意されているのも、ロードスターの魅力である。
さて、そろそろ結論に行かなければならない。個人的にNSXには相当惹かれる。最先端のテクノロジーが切り拓いた新しい操る歓びは、このクルマでしか味わえない個性だ。
一方で円熟味すら感じさせるGT -Rも、いまだ強いオーラを放っているのは否定できない。生まれたばかりのGRスープラのこれからの進化も期待は大きい。
そしてロードスター。この中では絶対性能的に特筆すべきものではないが、走れば理屈抜きにファンだし、何より価格がアフォーダブル。質こそ深まれど初代から変わらない精神は健在と感じ、嬉しくなる。
しかも、世界中であれだけ生まれたフォロワー達のほとんどが退場していく中、その火を消すことなく、むしろ輝きを増しているのだから素晴らしい。日本代表として推すべきは、やはりロードスターを置いて他にはないというのが結論である。