試乗記

【比較試乗】「ポルシェ911 カレラ4S vs ランボルギーニ・ウルス vs ロータス・エヴォーラ vs シボレー・カマロ vs マツダ・ロードスターRF」世界中のアスリートたちが集結!

LOTUS EVORA/ロータス・エヴォーラ

本物のクラブレーサーへと進化

エリーゼのプラットフォームを極限までワイドトレッド化し、3L V6スーパーチャージャーを横置き搭載したミッドシップは、デビュー当初荒々しさや操作性の難しさばかりが目立ったが、度重なる改良を経て本物のクラブレーサーへと進化。特に水冷式インタークーラーを備え、足回りを研ぎ澄ませた410スポーツはアマチュアドライバー珠玉の1台。刺激性は残しながらも、優れた空力性能と足つきの良さが安心感を高め、自分の限界にチャレンジさせてくれる。運転のしやすさは日常域にも反映されている。(山田弘樹/K.Yamada)

ロータス流のデイリースポーツ

どこからか“エンジンはトヨタのV6でしょ”みたいな声が聞こえかねないけど、知らなければ絶対にそうは思わない。だって、中回転域にかけてのトルクの盛り上がり感と高回転域にかけてのパワーの伸び感はスーパーチャージャーの威力があったとしてもトヨタっぽさとは無関係。しかも、4500rpmから高周波サウンドにレーシングエンジンのようないい意味のメカニカルノイズが重なるあたり、ピュアスポーツ用ユニットとして文句ナシ。しかも、エキシージほどトンがってないからデイリーに乗りこなせる。(萩原秀輝/H.Hagihara)

味はちゃんとロータスしている

最高出力は416psもあるし、車重はこの410スポーツでは軽量化されているとは言え1.3トン以上。「少ないパワーでも軽さを活かして……」がロータスじゃないの? なんて思いつつ走らせたら自分の不明を恥じることになった。普通に飛ばしても十分よく曲がるが、エヴォーラはコーナーに放り込むが如く思い切って攻めると、さらにイキイキとした反応を示す。ターボじゃなくスーパーチャージャーを使った効果でエンジンも切れ味上々。絶対的な速さを高めつつも、その味はちゃんとロータスしているのだ。(島下泰久/Y.Shimashita)

ロータスらしさはエヴォーラにも

ライトウエイトゆえにライド&ハンドリングで優位に立つというロータスらしい考え方はエヴォーラにも引き継がれている。生まれが同世代のスポーツカーに比べると、サスペンションはしなやかで路面追従性が良く、乗り心地とハンドリングのバランスが絶妙なのだ。最新世代のドイツ車などは最先端テクノロジーでバランスの次元を高めてきているが、エヴォーラは比較的にプリミティブな中で達成しているのが賢いところ。次世代のロータスが早く現れてくれることに期待したい。(石井昌道/M.Ishii)

エリーゼよりも高度なスポーツカー

エリーゼは近代ロータスの祖といっても過言ではないクルマだ。そのミニマルな成り立ちは様々な影響をスポーツカーの世界に及ぼしている。アルファ・ロメオ4CやアルピーヌA110もそのひとつだろう。エヴォーラはそんなエリーゼの延長線上にあり、1960年代からのロータスの悲願であるスポーツGTでの成功も視野に入れたモデルだ。スペックは過激でも乗ること自体は容易い。でも、理解し乗りこなすには相応のスキルと共にブランドへの敬意が求められる。ある意味エリーゼよりも高度なスポーツカーだ。(渡辺敏史/T.Watanabe)

パワーがなくても速く楽しく走れる

昨今のスポーツカー市場は、特に高額モデルで一種のパワー競争のような事態に陥っている。500ps / 500Nm超えのモデルも珍しくなくなったいっぽうで、数々の電子制御デバイスを発動させてパワーを抑え込みながらまともに走らせるという不合理なロジックも見受けられる。ABSとESPしかなくても、500ps以下/ 500Nm以下でも、速く楽しく痛快に走れることは可能。そもそもスポーツカーとはそういうものだったのではないかと、まるで世間に無言の提案をしているかのごとき主唱者がエヴォーラだと思う。(渡辺慎太郎/S.Watanabe)

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada ル・ボラン2019年11月号より転載
LE VOLANT web編集部

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