試乗記

【比較試乗】「ポルシェ911 カレラ4S vs ランボルギーニ・ウルス vs ロータス・エヴォーラ vs シボレー・カマロ vs マツダ・ロードスターRF」世界中のアスリートたちが集結!

ALPINE A110/アルピーヌA110

もっともワインディングが楽しい

ミッドシップのスポーツカーは、限界を超えたときのコントロールが難しいからアンダーステア傾向に躾けるのが旧来の常識だったが、最近では車両安定装置などテクノロジーの進化で是正されつつある。A110も車両安定装置を採用してはいるものの、それ以前の基本として4輪ダブルウイッシュボーンでシャシーの基本性能を高め、ニュートラルに近いハンドリングを実現。どんな速度域でもストレスなくクイクイと俊敏に曲がる性能を手に入れた。いまもっともワインディングロードが楽しい1台だ。(石井昌道/M.Ishii)

人たらしな距離感がお見事

アルミニウム製ボディのミッドシップに252psを発揮するエンジンと7速DCTを組み合わせて積み、しかもこのスタイリングでしょ。乗る前からワクワクさせられるし、手を伸ばせば路面に届くほど低いフルバケットシートに腰を降ろすとドキドキしてくる。インテリアも、そんな気分を少しもシラケさせない。ところが、走り始めると“アレっ”となるほどフレンドリー。ドライバーを過剰に身構えさせない絶妙な距離感、それが走り込むほどにクルマと近づいていく。A110の人たらしっぷり、お見事です!(萩原秀輝/H.Hagihara)

最高のポジショニング

A110は真のエンスージアストが選ぶべきスポーツカーの中にあって、今最も輝く存在だ。その理由はルノー・スポールが、自分たちのプロダクトにおいて常にドライビングプレジャーを一番優先する性能として掲げているから。サスペンションはスポーツカーとしては異例なほどストロークフルで接地性が高く、車体の動きが分かりやすい。限界領域を迎えても、ミッドシップとは思えないほど挙動が落ち着いている。エリーゼよりも近代的で、ケイマンよりも刺激的。最高のポジショニングにいると思う。(山田弘樹/K.Yamada)

フランス車らしく快適性も考慮

スポーツカーの作り方にはいろいろあるけれど、A110はばね上もばね下もあえて動かして気持ちいい操縦性を作りだしている。脚を固めて車高を下げて、ばね上の動きを抑え込むことで余計な動きを排除する方法とはむしろ対極に位置する。ばね上をあえて動かしてピッチとヨー方向の挙動をうまく利用しながら旋回するやり方だと、減衰力やばねレートを極端に上げる必要がないから乗り心地への悪影響を最小限にできる。日常の快適性を絶対におろそかにしないクルマ作りはフランス車の真髄とも言える。(渡辺慎太郎/S.Watanabe)

造り手の技の深さを感じる

復活したA110のイチバンの見どころはシャシーの懐深い味付けの妙だと思う。それを支えるのが節々に押出材を贅沢に用いてアルミ材を繋ぎ止める軽量高剛性のフレームワークだ。美しさも感じられる無駄なき取り回しにこのクルマがいかに本気で走りを追求してきたが垣間見える。その上で、A110が目指したのは必死な速さではなく、多くの人が身の丈で楽しくドライブ出来るコントロール性の高さ。スポーツカーを知り尽くしているからこその余裕、それを味わいに変える能力に、造り手の技の深さを感じる。(渡辺敏史/T.Watanabe)

ワインディングで最高の相棒に

車重約1100kgという軽さにミッドシップレイアウトだから、フットワークは俊敏そのもの。しかも、しなやかな脚まわりはロードホールディング性に優れ、安心して限界に挑んでいける。1.8Lターボエンジンは色艶に乏しいが、フラットな特性で優れたコントロール性に貢献している。そう、すべてがコーナリングを楽しむためにA110は出来ている。個人的にはこのクルマなら、サーキットもいいがワインディングロードを目指したい。どこまでも続くコーナーを攻略するのに最高の相棒になるだろう。(島下泰久/Y.Shimashita)

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada ル・ボラン2019年11月号より転載
CARSMEET web編集部

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