快楽主義者のつくったフランス車に通底する魅力は「心地よさ」
一方、今回ペアを組んだトゥインゴ。新意匠のLEDランプやアルミホイール、リアのエアインテーク新設などで、新型はちょっと男の子っぽさを増した。しかし乗ってみると、その個性や好感度はいままでどおりである。
考えてみると、いまいちばん高いフランス車がA110。いちばん安いフレンチがトゥインゴなのだが、これはこれでスポーティなスーパーミニである。
RENAULT TWINGO EDC/先ごろのマイナーチェンジで、新デザインのフロントフェイスやリアスポイラーを採用。新たに、「EASY LINK(イージーリンク)」と呼ばれるマルチメディアも採用され、7インチタッチスクリーンでスマートフォン内の各種機能にアクセスできるようになったのもトピック。
新型トゥインゴのエンジンは92psの897cc3気筒ターボ。以前あったGT(109ps)用ほどのチカラはないが、十分だ。なんたってリアエンジンだから、ノーズが軽い。ワインディングロードでは、後輪のトラクション(駆動感)が楽しい。
四輪を可能な限り四隅に配置した長いホイールベースのおかげで、乗り心地は落ち着いている。ステアリングは軽く、ペダル類も軽い。だが、剛性のある軽さだから、安っぽさはない。エンジン音を後ろに置いてくるせいか、風に乗って走るような爽やかさは、同クラスコンパクトのどんな車にも似ていない。特異なRRレイアウトなのに、パーティーのテーブルに並ぶブルスケッタみたいに食べやすい、いや、乗りやすい。
RENAULT TWINGO EDC
トゥインゴとA110を両天秤にかける人はいないだろうが、今回乗って、あらためて思った。スポーツカーでも、高級セダンでも、お買い得な大衆車でも、快楽主義者のつくったフランス車に通底する魅力は「心地よさ」である。