国内試乗

【国内試乗】「マツダ CX-30」は激戦のコンパクトクロスオーバー試乗に新風を吹き込めるか!?

マツダ3とプラットフォームを共用しながら、あえて全長とホイールベースを切り詰めて登場したCX-30。激戦のコンパクトクロスオーバー SUVマーケットに新風を吹き込むことになるのか!? その実像に迫ってみる。

美しいデザインと実用性をハイレベルに両立

マツダ3のファストバックより全長を65㎜、ホイールベースを70㎜切り詰めたCX-30は、SUVにありがちな「街中での取り回しに苦労しそう」というハードルを下げるべくサイズを見直したという。スタイリッシュなデザインのせいか、一見、さほどコンパクトに見えないが、確かに狭い街路で持て余すこともなく、Uターンなども楽にこなせる「乗りやすさ」がまず印象に残る。

ボディサイドへの映り込みを見るとわかるように、膨らみと凹みを絶妙に組み合わせて流れるようなデザインで仕上げている。

また、ボディ後端(リアウインドーの下の部分)をぐっと後ろに引っ張ることでDピラーを寝かせ、クーペタイプSUVのようにルーフ後部を下げることなくスタイリッシュなシルエットを実現。こうした工夫により後席のヘッドスペースはしっかり確保され、身長182㎝の筆者が乗っても頭上には余裕が残る。

インパネ回りのデザインや内装材の質感、スイッチ類の操作感などはマツダ3で得たノウハウを生かし、プレミアム感のある仕上がりとなっている。車載通信機を全車に標準搭載し、新たなコネクティッドシステムも用意。

インテリアの雰囲気はマツダ3に準じており、内装材の質感やスイッチの操作感も上々。中間グレードなら300万円以下で手に入るクロスオーバーSUVとして満足度は高い。エクステリアに関しても、面積の大きなフロントグリルとマツダ車最大というクロームのシグネチャー、流麗なサイドパネルの造形や下部を覆う樹脂製クラッディングなど、デザイン上のアクセントが効いている。用意されるボディカラーはレッド以外はシックなものに限られてしまうが、明るくビビッドなカラーだとこのスタイルがどう映えるのか、その選択肢も欲しいところだ。

ラゲッジ容量は430Lが確保され、20Sを除く全車に電動パワーゲートを標準装備。

新たなクロスオーバーSUVの方向性を示す

パワーユニットは2L NAのガソリンと1.8Lディーゼルターボに加え、発売は2020年2月となる火花点火制御圧縮着火(SPCCI)+スーパーチャージャーの2Lガソリン「スカイアクティブX」を用意。今回はNAのガソリン車とディーゼル車のみの試乗となったが、6速MTも選べるガソリンエンジンは、ごく実用的な黒子的パワーユニットながら1.5トン弱のボディを過不足なく走らせる。シフト感を丹念に作り込んだというMT車はシフトストロークもちょうどよく、3ペダル車に抵抗のない人にはお勧めだ。

2Lガソリンエンジンは156ps/199Nmのスペックで過不足のない実用エンジン的なフィーリング。

一方のディーゼルは中速域はトルクフルで気持ちいいが、低速域ではややトルクが薄く感じることも多く、それをカバーすべくアクセルを多めに踏み込むとディーゼル音が高まるなどシングルターボの限界を感じる。実用域では6速ATで問題ないが、この低速域をカバーできる多段ATがあれば、と感じるシーンも少なくなかった。

1.8Lディーゼルターボは116ps/270Nmながらもうちょっと低速域でのトルク感が欲しくなるシーンも。

ボディ、シャシーの一体感は高く、ステアリング特性も含め意のままに操れるマツダ車の美点はしっかり受け継がれている。操舵に対する反応はマツダ3と比べると穏やかで、高速道路のランプウェイなどに高めの速度で入っても、ロールを許容しながら安定したハンドリングで抜けていける。車重はディーゼル車が50㎏ほど重いが、前後の重量配分はガソリン車が前60:後40、ディーゼル車が前61:後39と大きく変わらず、ディーゼルが特にフロントヘビーという感覚はない。

運転席の着座位置はマツダ3より86㎜高く、視界のよさと乗り降りのしやすさを両立。

スカイアクティブXの出来映えは未知数ながら、プレミアム感あふれるスタイルを含め、新たなクロスオーバーSUVの方向性を示す1台となりそうだ。

後席のレッグスペースはひと回り大きいCX-5と同等で、ヘッドスペースは見た目以上に広い。


18インチのアルミホイールに215/55R18のタイヤを組み合わせる。ちなみにスカイアクティブX車はホイールが高輝度ダーク塗装となる。

【Specification】マツダ CX30 20S Lパッケージ(2WD)[XD Lパッケージ(2WD)]
■全長×全幅×全高=4395×1795×1540㎜
■ホイールベース=2655㎜
■トレッド=前後1565㎜
■車両重量=1400㎏[1460kg]
■エンジン型式/種類=PE-VPS/直4DOHC16V[S8-DPTS/直4DOHC16V+ターボ]
■内径×行程=83.5×91.7㎜[79.0× 89.6mm]
■総排気量=1997㏄[1756cc]
■圧縮比=13.0[14.8]
■最高出力=156ps(115kW)/ 6000rpm[116ps(85kW)/4000rpm]
■最大トルク=199Nm(20.3kg-m)/4000rpm[270Nm(27.5kg-m)/1600-2600rpm]
■燃料タンク容量=51L(レギュラー)[51L(軽油)]
■燃費(WLTC)=15.4 ㎞/L[19.2km/L]
■トランスミッション形式=6速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後215/55R18(7J)

■車両本体価格(税込)=2,794,000円[3,069,000円]

お問い合わせ
マツダ 0120-386-919

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2020年1月号より転載
田畑修

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