1963年にイタリアで創業したドライビングシューズブランドの「CAR SHOE」。長い間日本から撤退していた、知る人ぞ知るこのネーミングが、この度コノリー銀座店のオープンによって、ふたたび上陸を果たしたのだ!
※この記事はル・ボラン2019年10月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
ドライビングシューズのレジェンドが再上陸〈カーシューのドライビングシューズ〉
ドライビングシューズに初めて出会ったのは、もう20年以上前だろうか。ローファーモカシンの靴底から踵にかけてゴムの突起をちりばめたユニークなスタイルが目を引いた。そしてタイヤを中心にしたロゴマークに、ブランド名もまさにそのまま「カーシュー」だったのだ。
カーシューは1963年にイタリアで創業し、独自のソールスタイルと脱着可能なインソールで特許を取得した。当時扱っていた日本の代理店の話では、イタリアのフェラーリディーラーではクルマの購入者が選んだインテリアに合わせて同色のシューズを贈ったという。真偽は定かではないが、そんなエピソードにも憧れがかき立てられた。しかしあくまでもドライビングのために考案されたスタイルであり、アスファルトの道路を長く歩くには向かず、突起もすり減ってしまう。さらにソールを張り替えることもできなかったが、その潔さもラグジュアリーに感じたものだ。
やがてドライビングシューズは知名度を得て、ドライブだけでなく、スポーティなカジュアルシューズとして幅広く受け入れられるようになった。だが一方でカーシューは、2001年にプラダグループ傘下に入ったことで日本から撤退し、多くのファンに惜しまれつつ、店頭から姿を消した。
そして約20年近くを経て、カーシューが再び日本に戻ってきた。これは英国コノリー社が扱っていたことから、日本に初出店したコノリー銀座でも販売されるようになったのだ。それもプラダが正規に取り扱いを承認しているのは国内でもこのショップのみという、ファン待望の再上陸だ。
新作を見てみると、巷のドライビングシューズが歩くにも対応し、モダンに換骨奪胎するなか、スタイルやハンドメイドの製法は昔からほとんど変わらない。まるでデッドストックだ。しかしそれはけっして悪い意味ではなく、むしろ変わらないからこそ、オリジナルの存在感と革新的な発想が際立つ。周回遅れかと思っていたのがトップに立ったようなもの。そんなタイムレスな価値にドライブもきっと足下から楽しくなるはずだ。
●問い合わせ先=コノリー 銀座店 TEL:03-3574-3411 http://www.connollyjapan.com