“ザ・メルセデス”のテイストを色濃く持つ
そんなことがあったせいか、メルセデスのAクラスも、ついついそういう目で見てしまう。僕達がメルセデスに無意識に期待してしまうもの。おそらくそれは、突き詰めていくと“極めて質の高いリラクゼーション”なんじゃないか? と僕は思っている。
一般的には紛れもない高級車ブランドとして認識されてるけれど、メルセデスの高級は単なる見栄えのためだけじゃなく、それも含めた全てが乗員を心地好く移動させるために存在すると感じたことが、しばしばあったからだ。試乗車のA200dがディーゼルターボを積み他のAクラスより100kg以上重いこともあるが、その乗り味はしっかりと腰の据わった印象の強い、大人っぽいものだった。もっとエアボリュームのあるタイヤなら、さらに穏やかさが増すだろうけど、街中では大きめな段差などを踏まない限り硬さのようなものを感じることはなく、脚が滑らかに動いて心地良い。その落ち着いたフィールはこのクラスでは重厚といってもいいレベルで、それが安心感にも繋がっている。といってクルマの動きが鈍いわけじゃない。320Nmのトルクは発進から力強く滑らかに速いから、穏やかにも活発にも走れるし、ステアリングだって先代と較べれば反応がややマイルドといえるフィールながら、操作した分だけきっちりと、綺麗に正確に曲がってくれるから気持ちいい。ガソリンエンジンの方は未試乗だからAクラスの全てがこういうベクトルなのかどうかは判らないが、少なくともA200dに関しては、そうした“ザ・メルセデス”のテイストを色濃く持たされている。