
経済合理性から都心部を中心にクルマを持たない人が増え、カーシェアリングサービスが急成長を遂げているのは昨今耳にする話だが、クルマを持つ人のみが享受できる新しいサービス「カローゼット」にも注目が集まっている。愛車と愛車を無償で一時交換する、斬新なサービスの全容を紹介しよう。
体験と体験を交換し借りることが付加価値に
愛車と愛車を交換する——。
「自分のクルマは自分しか触らせない!」と決めた思い入れの強いクルマならば、ガレージで保管して週末に自分だけのカーライフを満喫するのが良いだろう。しかし、「他にも乗ってみたいクルマがある」「一時的に荷物を載せられるクルマが必要」「特別な日だからプレミアムなクルマに乗りたい」乗りたいクルマを所有している人と一時的にクルマを交換できれば、クルマを所有する新たなメリットになり、また人と人の繋がりが新しいカーライフの始まるきっかけになるのではないだろうか?
愛車一時交換アプリ「カローゼット」は、第3のカーシェアリングとも言われ、一時交換をする人の間でレンタル料などの金銭のやり取りは一切発生しない。ルールはシンプルで、自分が他の会員からの一時交換リクエストに応じた日数分だけ、別の機会に、今度は自分が一時交換をリクエストする権利が手に入る、というもので、言わば、「ギブ&テイク」で成り立つサービスだ。相手からの一時交換リクエストに応じる目的は「お金」を手に入れるためではなく、自分のクルマでできないことを、誰かのクルマと交換することで実現させる「権利」を手にいれるため、というのがこのサービスのキモなのである。
これまでも、一時的に自分のクルマではないクルマが必要ならば、レンタカーやAnycaなどのサービスを利用できたが、当然、利用には相応の支出が必要だった。しかし、「カローゼット」は、クルマを所有している多くの会員間で、互いに所有しているクルマを「無償で」利用し合って助け合う、言わば「相互扶助の」精神を持ったサービスであり、根本から異なるものである。株式会社カローゼット代表の内藤丈裕氏は「かつて日本では当たり前だった、お隣さんから醤油や味噌を借りる、その代わりに別の機会に戴き物をお裾分けする、そんな感覚」とサービスを喩えた。物も情報も飽和する時代だからこそ、顔の見える相手との愛車一時交換を通じ、クルマを大切にする人と人のつながりという付加価値が生まれていけば、新たなシェアリングエコノミーを形成するきっかけにもなるのだ。
蛇足となるが、サービスの基本は個人間同士のやり取りなので、必要以上に厳格なルールは存在しない。しかし、クルマを大切に所有するオーナー同士がルールに則って、「金銭目的」ではなく「お互い様」の精神で愛車一時交換を楽しんでいる結果、これまで目立ったトラブルは一件も発生していないという。クルマとクルマの繋がりがもたらしてくれる人と人の繋がりを求め、新たなカーライフを楽しむ人が増えているということだろう。
会員同士のクルマで得られる体験を「カローゼット」でトレード
使い方/How to use
□iPhoneでアプリをダウンロード
□任意の自動車保険(車両保険つき)に加入した自家用車を登録
□「リクエストを申し込む側」が「リクエストに応じる側」の家に自らのクルマで訪問して交換
「カローゼット」は他の会員からの一時交換リクエストに応じた日数分だけ、別の機会に他の会員へ一時交換リクエストをする権利(予約可能日数)が手に入る。先に一時交換に応じてから、次に自分からの一時交換を楽しむのが基本だが、先に自分からの一時交換リクエストを楽しむ予約可能日数の「前借り」制度もある。これを利用した場合は、30日以内に「前借り」をした日数分、他の会員からの一時交換に応じることとなるが、もし応じられなかった場合、前借りをした日数×4980円(税別)をカローゼットに支払うこととなる。
トラブル時の対応/Troubleshooting
□キズや不具合の報告・確認は交換時に本人同士が行なう
□交換日時の設定、使用や洗車などのルールなどは事前に取り決める
□事故時は「事故を起こした人」の保険を適用
事故や故障の場合、交換したクルマの使用者の保険やロードサービスを適用。既存のキズや不具合、貸し出しのルール(禁煙、洗車、長距離OKなど)はアプリへ登録。会員同士による金銭の取引がないので、「自分のクルマで楽しんでもらう」「クルマ好き同士楽しみを共有したい」というホスピタリティの上に成立するサービスとも言える。ディーラーによる法人登録車両もあり、これはディーラーへ訪れ、マイカーと交換してクルマを借りることとなる。
「カローゼット」へ、クルマ雑誌「ル・ボラン」スタッフから質問
数々の愛車を乗り継ぎ、新しいカーサービスにも興味の絶えないクルマ雑誌「ル・ボラン」スタッフが、「カローゼット」を利用する上での疑問や質問を同社代表に問合せ、回答いただいた。なお、基本的なQ&Aは「カローゼット」webサイトに詳しく掲載されています。
Q.1/カローゼットは本当に無料なのですか?
A.1/入会やおクルマの登録などに関わる費用や、月額基本料などの固定費も一切かかりません。自分が他の会員からの愛車一時交換リクエストに応じさえすれば、その日数分、「完全に無料で」愛車の一時交換をお楽しみいただけますので、先ずはお気軽に、是非登録してみてください!
Q.2/「カローゼット」を通して知り合った方と意気投合し、クルマの売買の交渉や一緒にドライブに出かけても良いのでしょうか?
A.2/カローゼットは、愛車の一時交換を目的にクルマオーナー同士をマッチングするプラットフォームです。実際にお会いになったオーナー様同士が個人の意思と責任で、一時交換と関係のないお話をカローゼットが禁止するような立場にはないと考えています。
Q.3/予想外の故障に見舞われた場合、まずは自分のロードサービスで対応すれば良いのでしょうか?
A.3/車両の運行にはプラットフォーマーとして関わりませんので、基本的にはお客様のご判断で、加入保険に付帯されたロードサービス、JAFなどのサービスをご利用いただき対処いただければと思います。
Q.4/低年式のクルマでもカローゼットに参加できますか?
A.4/問題ございませんが、任意の自動車保険(車両保険つき)に加入していることが条件です。
Q.5/クルマを交換する相手のドライビングスキルを知る方法はありますか?例えば、MT車ならばクラッチやミッションへの負担などが気がかりです。
A.5/運転頻度は登録情報としてありますし、また過去の貸し借りに関する定量、定性両面での評価が見られるようになっていますが、実際のスキルまで知ることは現実的にはなかなか難しいかと思います。注意事項があれば、アプリへ登録していただき、相手に直接チャットで確認をしていただくことは可能です。
Q.6/趣味性の高い走り(スポーツ走行、オフロード走行)に使用することはできますか?
A6./相手の方が承諾をしていただければ、カローゼットが関知することではないと思っていますが、一般的には断られるケースが多いと思われます。(登録時に、「サーキット走行などはご遠慮ください」と書かれている方も良く目にいたします)
Q.7/今後オフ会のようなものを行なう予定はありますか?
A.7/現時点で決まったものはありませんが、クルマが好きなオーナーの方が集まり始めていただいていますので、将来的には検討していきたいと考えています。
サービスの詳細や、さらに有意義な「カローゼット」の使い方はアプリへ!