コラム

レイズホイールの最先端技術に迫る! スペシャルファクトリーツアー

常に自社設計生産体制を貫くレイズは、鍛造ばかりか大規模鋳造工場も有する。レーシングホイールで得たノウハウが投入され、また鋳造ホイールならではの研究開発、生産設備の拡充にも余念がない。こうした最新鋭の生産設備によってHOMURA(ホムラ)が紡ぎ出される。

己の個性を貫くために高性能を追い求める

メイド・イン・ジャパンを誇りに思い、常に自社設計生産を貫いてきたレイズは、日々、革新的な設計手法や技術で成長を続けている。TE37に端を発するボルクレーシングの台頭が手伝い、我々はそこに鍛造製法のイメージを重ねる。しかしレイズは同時に、世界最高峰の鋳造技術も有する。HOMURA(ホムラ)はそこから生まれたレイズの大黒柱だ。レーシングホイールを頂点とする究極的なホイールで培った技術を活かしながら、様々な車種カテゴリー、カスタムジャンル、ライフスタイルを見越して独特の様式でホイールを紡ぎ出してきた。

HYUGA HP07(左) 、HYUGA HP10(右)

すでに世に提案される製品群を見れば、多様なデザイン性が伝わる。今回はそこに内包された技術を知りたい。と、レイズ鋳造工場及び開発、試験現場を訪れた。

HYUGAシリーズのリムを見ると、タイヤエッジを落とし込むドロップがインナーリム側にある。ドレスアップ性というよりもリム強度を確保するために採用したRCF&リバースリム構造である。

製品力を如実に訴えかけてくるのが、レイズ独自の試験基準だった。国内に流通するアルミホイールは、すべてJWLの安全技術基準を満たすことが必須となる。しかしレイズは念には念を入れて、JWL基準を遥かに上回る独自の試験方法を取り入れ、すべての銘柄、サイズでクリアすることを課してきた。それがJWL+Rというもの。試験回数の面でハードルを上げるだけでなく、90度衝撃試験や、インナーリムをわざと変形させた後の耐久性を見る独自試験も盛り込まれる。

鋳造工程から切削、塗装など国内の複数拠点をまたいで丁寧に仕上げられていく。オートメーション化と職人技を両立させ、多品種小ロット生産体制を貫いてきた。

さらに解析技術にも抜かりはない。ホイールの性能を決める要素は多種多様だが、レイズはキャンバー剛性理論という視点を持ち、コーナリング中など過度な力が加わった時にホイールがどう変形するのかを徹底的に解析。単なる机上の解析のみならず、昨今はR3シミュレーターを導入して実測値との比較にも乗り出した。ホイールの強度や剛性を維持したまま、どの部位の肉を使って軽量化につなげられるか。あるいはデザイン性を高められるか。といった開発に役立つ解析、試験技術である。

こうした研究開発のひとつの回答として、HYUGA(ヒュウガ)シリーズはレイズ独自のRCF(レイズ・キャストフローフォーミング)+リバースリムを実用化した。インナーリム剛性を高める狙いで、あらゆる側面からキャンバー剛性値を注視してきた研究開発の賜物だ。高性能ホイールは、裏側にこそ技術が宿る。その切磋琢磨を声高には訴えず、最高峰の技術を裏地に潜ませる。いかにも日本人らしい美学を感じる。

フォト=白谷 賢/K.Shiratani ル・ボラン2020年5月号別冊付録より転載

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