C3エアクロスは遊び心に溢れるフレンチコンパクトSUV
TクロスとガチンコライバルになるのがC3エアクロスである。ともにFFの二駆。こちらは1.2Kの3気筒ターボ+6段AT。ボディ外寸のタテヨコはほぼ同じだ。だが、テイストはまったく違う。もともとクロスオーバー的な素のC3をさらにSUV仕立てにしたエアクロスは、内外装に渡って遊び心が溢れている。どこも行かなくていいんじゃないかと思わせるほど楽しい雰囲気のクルマである。
人やモノを載せる性能はTクロスをしのぐ。シートの座り心地のよさはさすがシトロエン。試乗車のシャインパッケージ(302.5万円)には車内全員で青天井が味わえる電動パノラミックサンルーフが付いてくる。荷車としても優秀だ。かつてのボルボワゴンのように助手席背もたれを水平位置まで前倒しすることができる。そうするとフラットな荷室に2.4mまでの長尺物が積める。
走りは軽い。110psのエンジンはけっこう元気がよくて、回されることを好む。シフトパドルがほしいと思った。たっぷりしたサスペンションストロークを感じさせる足まわりはC3譲りだが、シャインパッケージは17インチのマッド&スノータイヤを履くためか、乗り心地はややゴツゴツする。猫足とはいえない。
そのほか気になったのは、高速道路を走ると、ルーフレールからかすかに風切り音が出ること。そのかわりルーフレールはえらくカッコイイ。なんてところは、このクルマの御愛嬌かもしれない。
最低地上高に余裕があれば、FFでもけっこう登れてしまうということが現実によくあるが、C3エアクロスにはさらに“グリップコントロール”が装備されている。スノー/マッド/サンドなどの路面状況に応じ、トラクションコントロール/ブレーキ/エンジンを制御して駆動効率を最適化する機構だ。ただあくまで四駆ではないから、過信は禁物である。