レネゲードはイタリアンとコラボしたアメリカンSUV
今回の3台のなかで唯一4WDだったのが、ジープ・レネゲード・トレイルホーク(387万円)だ。以前は2.4Lだったが、マイナーチェンジ後は1.3L 4気筒ターボにダウンサイジングした。変速機はZFの9段AT。フィアット・クライスラーのコラボレーションが生んだ最小ジープ、レネゲードの最上級モデルである。
FF組の2台と比べると、こちらはいかにも本格四駆である。20cmの最低地上高がもたらすアイポイントは高く、乗り心地はずっしりしている。ボディ全長は4.2mそこそこだが、幅は1.8mあり、スクエアなキャビンにもいちばん余裕がある。
車重1570kgのジープが1.3Lエンジンで動くとは、ある意味痛快だが、トレイルホーク用は151psのFFより大幅にスープアップされて179psを誇る。アバルト595でもコンペティツィオーネ並みのハイチューンだ。トルクでズロロロと走るアメ車っぽさはないかわり、回すとけっこう速い、だけじゃなく、けっこう楽しいのはやはりイタリアの血だ。
レネゲードはプラットフォームを共用するフィアット500Xとともに南イタリアのメルフィ工場で生産されている。雨が降るとリアカメラに水滴が映り込んでよく見えなくなるという難点などは、たしかにイタ車的トホホポイントである。でも、レネゲードが現行ジープ随一の個性派であることはたしかだ。二駆で十分なら、だいぶ乗り味の軽いロンジチュード(299万円)もある。
このクラスもいまや運転支援システムの充実が求められるだろうが、その点で最も高ポイントだったのはTクロスである。使いやすい全車速追従機能付きアダプティブ・クルーズコントロールは、街中でもちょっとアクセルとブレーキ操作を代わってもらう、みたいな使い方ができる。しかも山坂を走れば、ポロGTIに負けず劣らず楽しい。いまコンパクトSUVで走りに出るなら、個人的にはTクロスがいちばんかなと思った。
広々とした居住性に加えて、リアシートも最大14cm前後にスライドするなどレイアウトを簡単に変化させることも可能。1L3気筒TSIエンジンに7速DSGを組み合わせ、軽快かつ俊敏な走りを実現。上級モデルに採用される先進安全装備も数多く採用する。