鳥のフンによるダメージを受けない塗料を鋭意開発中
欧州フォードはこのほど、鳥のフンからボディを守る塗料の開発を進めていることを明らかにするとともに、愛車のボディに付着した鳥のフンは、できるだけ速やかに洗い落とすことを改めて推奨している。
今年1月に日本でも公開された映画、「フォード vs フェラーリ」では、フォードがフェラーリに挑む姿が描かれているが、それはレースが舞台。ここでの話はカーオーナーにとって身近な、鳥フン被害からボディを守るフォードのペイントワークへの取り組みだ。
日本を含む多くの国では“運がつく”などとポジティブに捉えられることもあるが、鳥のフンはクルマの塗装に深刻な影響をおよぼす可能性が高い。鳥が放つフンの白い部分は尿成分で、酸を含んでいるため塗装面へのダメージは小さくない。とくに鳥の多くなる春から夏にかけては陽射しが強く、これによって塗装面が軟化しやすく、シミを残すなど被害がより深刻化しやすいのだ。
フォードでは、そんな被害から愛車のボディを守るべく塗料の研究開発に取り組んでいる。彼らはさまざまな鳥のフンを分析することで、人工的に鳥のフンを開発。この人工フンを吹き付けたテスト用パネルはオーブンに入れられ、屋外で高温になるボディパネルの状態を想定して、40℃、50℃、60℃の各状態でパネルの腐食具合を分析した。この結果をもとに、鳥フンからボディを守るサンプルの塗料を開発したのだ。
このサンプルでは、鳥フンだけでなく花粉や樹液といったそのほかの塗装面の“敵”にも耐えられるようリン酸を含んでいるという。このサンプルでのテストは、60℃や80℃に熱したオーブン内で状態をチェックするほか、屋外での風化状態を確認するため、最大6000時間(約250日)連続で紫外線を照射したり、地球上で最も明るい場所での5年間にわたるシミュレーション、さらには氷点下や湿度の高い環境、冬季の融雪剤を撒いた道路環境などで行なわれる。
いまのところはまだ開発段階にあるが、この塗料の一刻も早い実用化に期待したいところだ。
なお、フォードでは鳥のフンがボディについた場合、できるだけ速やかに洗い落とすことを改めて勧めている。可能なら年に1〜2回ワックスをかけておけば厳しい“攻撃”から守れるだけでなく、光沢をより長く保つことができるとアドバイスしている。