多くの点で強みを示すベルランゴとリフター
コクピット周辺の収納は、ベルランゴとリフターが充実。とくにリフターは、ベルランゴには備わらないセンタコンソールがあるぶん、小物の置き場には困らない。
後席は、カングーが2分割式、ベルランゴとリフターが3分割式だが、3台とも大人3人がさほど窮屈な思いをせずに移動できるスペースを確保し、ヘッドルーム、ニールームにも十分な余裕がある。細かいところでは、チャイルドシートISOFIXアンカーがカングーでは後席の左右2席に設けられるのに対し、ベルランゴとリフターは3席すべてに設置される。家族構成によっては選択時のポイントになるだろう。
一方、乗り心地については、全高が高いということもあって、3台とも軽いピッチングが気になることも。ベルランゴは揺れは小さいものの収まりが悪く、最低地上高が高めのリフターは、それに輪をかけている。カングーもピッチングが気になり、乗り心地も他より硬めだが、そのぶん揺れの収まりは速く、個人的にはカングーの味付けが好みだった。
動力性能は、1.5Lディーゼルのベルランゴとリフターは余裕ある加速を見せる。オフロードをイメージさせるリフターでは、前輪駆動ではありながら、トラクションコントロールを用いて悪路でも最適なグリップを実現するアドバンスドグリップコントロールを採用するのが頼もしい。一方、 1.2Lガソリンターボのカングーでもストレスのない加速を見せ、十分満足のいく仕上がりだ。
先進運転支援システムは、ベルランゴとリフターが衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルースコントロール、レーンキープアシストなどを搭載するのに対して、カングーにはその手の装備がないのが正直つらい。そういった部分を含めて、クルマの完成度という意味では、新世代のベルランゴとリフターに軍配が上がるが、シンプルなデザインや手頃な価格のカングーは、ライフスタイルを楽しむための素材として、その魅力は色あせない。約30年前、カングーの前身であるルノー・エクスプレスで走り回っていた自分にとっては、飾らないカングーに懐かしさを覚えるからかもしれない。